「リーン」経営のコンサルティング会社のFour Principlesは栄養たっぷりの成長を享受
リーン経営のコンサルティング会社であるFour Principlesが、「リーン理念」を中東、北アフリカ、トルコ(またはMENAT)地域全体に広め、同合弁事業が実現する機会を企業が活用できるよう支援するためにアブドゥル・ラティフ・ジャミールと合弁事業を設立してから2年が経ちました。
リーン経営は、トヨタのような日本企業が開拓した「カイゼン」ビジネス理念に基づいて、効率とパフォーマンスを高め、無駄をなくし、リソース利用を最適化します。
アブドゥル・ラティフ・ジャミールは、ほぼ65年前に独占販売代理店として日本からサウジアラビアへ トヨタ車の輸入 を開始し、この時初めてカイゼン文化を導入しました。それ以来、いかにリーン経営が、変化する環境において企業が順応し発展するための十分なな体力を確保してくれるかを直接体験してきました。
Four Principlesへの投資は、この日本との長期にわたる関係を反映するものであり、日本とサウジアラビアの二国間においてより緊密な関係を築くための日・サウジ ビジョン2030の合意に従うものです。
アブドゥル・ラティフ・ジャミールの会長兼代表取締役社長のMohammed Abdul Latif Jameel KBEは次のように述べています。「サウジアラビア政府がVision 2030計画の一環として経済多角化戦略を進めている中、カイゼンの理念は、民間部門および公共部門の両方の幅広い分野にわたるパフォーマンスの合理化を支援すると同時に、生産活動の改善においても重要な役割を担うことができます。」
これらの目標に沿って、Four Principlesとの合弁事業は、今後数年にわたり、サウジアラビア全域と更に広範な地域にわたる経済成長をミクロレベルとマクロレベルの両面で促進することを目指しています。
私たちは、Four Principlesの共同創設者であるセイフ・シーシャクリー (SS)および パトリック・ウィブッシュ (PW)と共に、過去2年間の進捗状況を確認し、彼らの将来のビジョンについて話し合いました。
2017年にアブドゥル・ラティフ・ジャミールと合弁会社を設立してから、Four Principlesはどのように発展しましたか?
PW:非常に好調です。年間利益は216%改善し、従業員数は54%増加しました。2019年末までに30人の従業員を抱えるようになります。これらの数字は特に、他のGCCコンサルティング市場の7%から10%の成長率と比較すると、目覚ましい結果です。
リヤドにオフィスを開設した理由は何ですか?
SS:サウジアラビアは常に私たちの主要市場であり、今も変わりはありません。最初にドバイにオフィスを開設したのは、ビジネス基盤を固める点で道理にかなっていたからです。ドバイからなら地域全域のクライアントにサービスを提供できます。しかし、成長し発展を遂げるにつれ、クライアントの所在地により近いサウジアラビアに恒久的に駐留する潮時であると明らかになりました。そこで、2018年12月にリヤドオフィスを開設したのです。
アブドゥル・ラティフ・ジャミールとの合弁事業は、サウジアラビアでのビジネスをどのように助けましたか?
PW:アブドゥル・ラティフ・ジャミールブランドと繋がりがあることは、潜在的なクライアントに安心感を与えます。Four Principlesの初期においては、私たちは既存のクライアントの口コミでしか成長できませんでしたので、うまく行く時もそうでない時もありました。一方、アブドゥル・ラティフ・ジャミールとの合弁事業は、私たちにアブドゥル・ラティフ・ジャミールの社内外のネットワーク全体へのアクセスを与えてくれます。特に公共部門において気づいてもらえるようになり、信用も高まりました。公共部門では、おそらく、真剣に検討するには当社の規模が小さすぎると見られていたかもしれません。
Four Principlesの成功は、この地域の企業の間でのリーンへの認識の高まりをどの程度反映していますか?
PW: 10年前に事業を始めたとき、リーンとは何か、それがビジネスをどのように変革できるかについて市場を啓蒙することは非常に大変な仕事でした。今は変わりました。「リーンとは何ですか?」と聞く人は もういません。人々はそれが何であるか、そしてそれがもたらすメリットを知っています。
まだ誤解はありますが、それはこの地域に固有のものではなく、私たちは世界中で同様の問題に遭遇しています。たとえば、チームに「リーンエキスパート」を一人配置すると、15,000人の組織の運命を即座に変えることができると人々はしばしば考えます。勿論、そのようなことはありませんが、リーンに対する認識は高まっています。
あるいは、リーンは考え方というよりは、ある種の ツールキットであるという誤った考えもあります。潜在的なクライアントは、「ツールを購入しますので使用方法を教えてくれる人を派遣してください」とよく言います。ですから、単にプロセスを変えるのではなく、考え方を変える方法であると見るならば、リーンの潜在的なメリットははるかに大きいことを説明しなくてはならないことが、今だに時々あります。
貴社は過去12か月間、イケヤのような大手クライアントと仕事をしてきましたね。大企業での課題は、中小企業が遭遇する課題と同じですか?
SS:はい、同じですが、規模が大きくなります。イケアやマクドナルドなどのような大企業には 世界中のフランチャイズ用のグローバル基準が設定されています。私たちが価値を付加するところは、これらの基準を現地の文化に適応させることの支援にあります。こうした種類の企業が現地の期待を理解すること、さらにグローバル基準が取り扱わない価値や無駄の現地の定義さえも理解することを支援します。
おまけにサウジアラビアは非常に広大で多様な市場です。たとえば、ジェッダの顧客の行動は、リヤドのそれとは大きく異なります。そのため、サウジアラビアそのものの中でも、文脈によってリーンが意味することを確立するには、解釈の微妙な調整を行う必要があります。
また、貴社はネスマ刺繍(Nesma Embroidery)と連携して、雇用の創出と拡大を支援されていますが、それについて教えていただけますか?
ネスマ刺繍は、ネスマホールディングスのCSRプロジェクトとして開始されました。それは、サウジアラビアとMENAT地域で事業を展開している大規模で多様なビジネスグループです。主に主要都市の外に住む障害者、主に女性の聴覚障害者のためのものであり、刺繍を仕事にすることで尊厳ある暮らしができる収入を得れるようにします。これは非常に成功していますが、上級管理職はその定義を超えて、それをプロのビジネスとするチャンスを見出しました。
たとえば、私たちは生産性の向上とリードタイムの短縮を支援し、それにより中国やバングラデシュから繊維製品のコンテナを輸入する企業に代わって、彼女たちが品質で競合できるようにします。
現在、新しいビジネスモデルが実証されており、規模拡大も可能です。私たちはネスマ刺繍モデルを地域に取り入れることを切望しているサウジアラビアの地域の知事から関心を寄せられました。なぜなら、それは最近の改革に沿って、ますます労働力としてその数を増大している女性の職を、を特に創出するからです。
リヤドのオフィスにはカイゼンラボがあります。そこで何が起きているのですか?
PW:カイゼンラボは 私たちがクライアント企業の考え方の変革を始めるために使用する戦略ハブとして機能します。そこでは官民に向けた最先端のデジタルトレーニングと研修/資格認証が提供されます。その目的は、リーンの実際のシミュレーションを使用して人々を訓練し、自身の組織に適用可能なリーン戦略の種類を特定することです。
当初から、リーン理念の教育とトレーニングを支援するために、カイゼンラボを設立することが私たちのビジョンの一部でした。私たちは、サウジアラビア企業のデジタル変革ニーズに対応するために、米国およびドイツのデジタル教育リーダー、人工知能およびデータマイニングサービスプロバイダーと提携しています。
ラボでは、トレーニング、シミュレーション、ケーススタディ、工場見学により、これらのデジタル変革を促進しています。私たちはクライアントの工場に類似する工場において、ベストケースのデジタルまたは「インダストリー4.0」の実装を示し、さらに自社で実施できるビジョンの作成を支援します。
これらのデジタル変革において、データとテクノロジーはどのような役割を果たしますか?
PW:それは変革の中心にあります。たとえば、卸売業者に製品を運ぶ配達用バンのフリートがあり、それらの一部が定期的に売れ残りの在庫を返品している場合には、バンの運転先、積荷要因、彼らが取るルート、運搬する製品の種類などを知っている必要があります。
以前は、ドライバーと一緒に道路を走り、観察し、手動でデータ分析を行う必要がありました。しかし、こうしたやり方では国中にある何百台ものバンについての全国的な問題に対応することはできません。データマイニングを使用すると、パターンを識別し、たとえば、市場またはその物流ネットワークへの当ルートを迅速にかつ地域または全国規模で最適化することができます。こうした機能とスピードにより、企業は以前よりもはるかに短時間で改善を行うことができます。
それには、トヨタウェイの父である大野耐一が生きていて、今日、利用可能な技術を用いてトヨタウェイを新たに考案するとしたら、どのようなものになるかということを考えてみたらどうでしょうか? 彼は大きなボードに手書きで書かれた看板を使用し続けているでしょうか、それともデジタルダッシュボードを使用してKPIをデータソースとERPシステムにリンクさせているでしょうか? 彼は、6人がどのように力を組み合わせて部品を運ぶことができるのか、それともどのようなロボットがそれをより簡単に、より経済的にできるかを検討するでしょうか?
リーン変革では、今日、利用可能なテクノロジーを配備する必要があります。私たちはクライアントがそれを行うのを支援します。勿論、それは彼らのビジネスと環境に適切なものでなくてはなりません。クライアントがビジネスの基本に関する課題に直面している場合、デジタル変革について語り始める前に、その課題のレベルで話を始める必要があります。一晩でゼロからヒーローになることはありません。そのようには機能するものではありません。
私たちは カイゼン賞の2年目を迎えようとしています。今年の水準はどうですか?
SS:昨年よりも認識が高まり、アプリケーションも増えたことは素晴らしいことです。カイゼン賞とは、認識を高め、リーン組織のことをもっと人々が知り、その成果を称賛するためのものです。
ひとつの非常に重要な要素とは、サウジアラビア内にリーンコミュニティを結集し、さまざまな業界の企業を互いに紹介し、誰もがその成功事例を共有し、リーンがさまざまな分野でどのように機能するかを、広く理解することでメリットを得るというアイデアです。
病院はレンタカー会社とその経験を共有し、レンタカー会社はメーカーとその経験を共有します。そのどれもが競合他社ではないため、このようなことができます。これには大きな効果があり、サウジアラビアのコミュニティ全体を上のレベルに引き上げる可能性があります。私たちは、こうした企業が協力し、交流し、共に成長できるプラットフォームを提供することを大変光栄に思っています。
中東の企業にとって最大の課題は何でしょうか?また、これらの課題への対応においてリーンはどのような役割を果たすことができますか?
SS:究極的には、これは考え方の変化に関するものであり、その変化は組織のリーダーに始まり、組織のリーダーに終わります。
PW:サウジアラビアでの最大の課題の1つは、早急に若者を仕事に参加させることです。すなわち、若い世代に権限を与え、意欲を高め、教育することです。リーンは、境界線を押し広げ、若者を育て、彼らを迅速に訓練し、彼らが価値を生み出すことを可能にするソリューションをもたらすものであると、私たちは考えています。
SS:私たちの アブドゥル・ラティフ・ジャミール・ファイナンスとの連携がその例です。私たちはリーンアプローチにおいては、サウジアラビアの若い大卒チーム(半分が女性)の採用、トレーニング、コーチングを支援しています。それによりアブドゥル・ラティフ・ジャミール・ファイナンスの戦略的変革を実施する際、リーンツールとリーン思考が身に付いていて自然に行えるようになります。私たちはこれをほぼ1年間実施してきましたが、このスキームにより、すでに数百万ドルのコスト削減を実現しています。
今後数年間の Four Principlesの野心とはどのようなものですか?
PW:私たちには成長に関する強い野心を持っています。従業員数が45人に増え、収益と利益の両面での成長を期待しています。絶好の機会があります。市場は堅調であり、当社のサービス提供に対する大きな需要があります。また、アブドゥル・ラティフ・ジャミールの強い財力をバックに機会を捉え、成長を遂げるつもりです。
SS:私たちはサウジアラビア国内で大量の採用募集を行います。12月に東部州にあるキングファハド石油・鉱物大学において、最初のキャリアフェアを開催しました。また全国の他の先進大学でのキャリアフェアにも参加していく予定です。現地採用ということは、海外から人材を引き入れるのではなく、地域内で次世代コンサルタントを育成できることを意味します。それは、サウジアラビアがビジョン2030の大望に沿って発展をを続けている中、非常に心躍る見通しです。