新世代の人々が、業界でその地位を築く準備をしている中で、アブドゥル・ラティフ・ジャミールは、将来のリーダーたちが、今日、キャリアを始める機会を世界中で提供しています。

次世代の人々に機会を提供するには、私たちは、どのようにするのが最善でしょうか?私たちは、どのようにして、すべての可能性が達成されるよう、確保できるでしょうか?そして、中東全般にわたり広がるエネルギーと起業家精神を活かすため、どのようなメカニズムが利用可能なのでしょうか?これらは、世界中の組織や業界のリーダーが取り組んでいる重要な問題です。

地球規模の問題への取り組み

2008年の経済危機以来、世界中の若者の失業は、依然として不愉快なほど高止まっています。2018年には、若者の失業率は世界で11.8%でした[1]が、若者は、世界の失業人口の35%を占めています[2]。中東における若年者の失業率は、約20.1%です[3]

若者の失業への取り組みは、目標第8(持続的、包括的かつ持続可能な経済成長)、目標第10(不平等の減少)、および目標第11(持続可能なコミュニティ)を含む、国際連合の持続可能発展目標のいくつかの進歩を促進させる、中心的な精神です[4]。それはまた、年齢を含む、さまざまな要因による雇用差別の撤廃を目指す、国連グローバルコンパクト原則第6の進捗を支持するものです[5]

機会への新たな扉を開く

調査によると、インターンシップは、若者が、キャリアの階段を踏み出す、有益な第一歩となりうることが分かっています。これは若者が、雇用主から高く評価されるソフトな対人関係のスキルを身に付けることができ、これに仕事に特有のスキルと経験を組み合わせることで、これらを制覇すれば職に就く可能性を高めることができるからです[6]

アブドゥル・ラティフ・ジャミール社は、教育の機会を提供し、奨学金を支援し、そしてMENAT(中東、北アフリカ、トルコ)地域全体でイノベーションと企業を奨励するという、三面的なアプローチに従っています。これは地域の野心と、現在進行中の発展と一致している方針です。

つい2019年5月、サウジアラビア政府は、民間企業が野心的な若者に、トレーニングの機会を提供するためにその社会的責任を自覚することを、人的資源開発基金(HRDF)を通じて公的に奨励しました[7]。HRDFのサマートレーニングプログラムである、Saifiは、労働社会開発省など複数の機関と協力して、計画的に実施されています。25人以上の従業員を雇用する民間企業全社は、プログラムに参加する義務がある一方で、これ以下の規模の企業も、若者が、スキルや職場での経験を伸ばすために、どのようなことができるかを理解するよう奨励されています。

アブドゥル・ラティフ・ジャミール社は、それなくしてはこれらの機会にアクセスできない可能性がある人々に、雇用、トレーニング、および教育の機会を提供するという点で素晴らしい実績を持っています。

MITでの奨学金

コミュニティ・ジャミール (Community Jameel) は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で、アブドゥル・ラティフ・ジャミール-トヨタ寄付奨学金を最初に設立してから、25年が経ちます。現在は、ジャミール・トヨタ奨学金(JTS)という名でよく知られているこの奨学金は、中東、北アフリカ、アジア各地の学生が利用でき、MITの学士課程で勉強している学生に、経済的支援を提供しています。その目的は、若者が、世界有数大学の1つで能力を発揮できるように支援することです。この目的は、これまで果たされてきており、これからも果たされ続けていくことに疑いの余地はありません。

これまで、25カ国から約200人の学生が、この奨学金を受けています。奨学金受給者の多くが事業を立ち上げ、成功し、雇用創出を通じ経済的に、また社会的にも、アブドゥル・ラティフ・ジャミール社が奨励する、前向きな資質の推進を通じて、地域社会に貢献しています。

アブドゥル・ラティフ・ジャミール社の副社長兼会長のファディ・M・ジャミール(中央)、Abdul Latif Jameel Investments社のシニア・マネージング・ディレクター、オマル・H・A・アルマディ(中央左、MIT Sloan卒業生)と、コミュニティ・ジャミールの国際戦略開発担当ディレクターのジョージ・リチャーズ(中央右)を両脇に、米国ボストンのMITキャンパスで、ジャミール・トヨタ奨学金の現在の奨学生と共に撮影。

 

若く有能なリーダーを支援する

ジャミール・トヨタ奨学金は、アブドゥル・ラティフ・ジャミール社が、多様な事業にまたがって行っている、唯一のプログラムではありません。

Abdul Latif Jameel Energyの一部であり、ユーティリティ規模の再生可能な発電所規模のプロジェクトの世界的なデベロッパーであるFotowatio Renewable Ventures(FRV)は、Fundacion Instituto de Empresa(IE財団 )と提携して、過去4年間ヤングタレントリーダー奨学金を提供してきました。

奨学金は、FRVのプロジェクトに近い分野の申請者に、開放されています。この奨学金は、14万米ドル以上の価値があり、スペインのIE大学での4年間の学位プログラムを対象にしています。これまでの奨学金受賞者は、ウルグアイとヨルダンからの学生です。

FRVの最高経営責任者(CEO)、Daniel Sagi-Velaは、次のようにコメントしています:「私たちは多くの国、特に発展途上国でプロジェクトを行っており、彼らから受け取ったものに対し、少しでもお返しすることができればと願っています。そのための最善の方法は、教育です。これが当社が、大学に行くための資金に事欠く若者を支援する奨学金プログラムを導入した理由です。学生が目標を達成し、成功する未来を築く手助けをしたいと強く願っています。

FRV Europeの業務担当マネージングディレクターのAndrea Fontanaは、次のように付け加えました。「このプログラムは、この地域の教育界、特に才能ある若者に対する、FRVの真剣さを示すものです。

 

2015年に、FRVのヤングタレント奨学金を獲得した、ウルグアイ出身のGuzman Noyaは、確かにこの経験から恩恵を受けました。奨学金を受けて以来、彼は、Banco SabadellとAmazonでの職務に就いてきました。

彼は、こう述べています:「厳格な選考プロセスを勝ち抜くことができたのは、強い決意があったからです。それは、確かに挑戦でした。でも私は、恐れを克服し、プレッシャーの高い状況を最大限に利用するため、最善を尽くす必要があると信じています。私が得た経験は、とても貴重でした。私は、非常に実用的なカリキュラムの、ワークショップや専門コースに参加しました。それは、あなた方にとっても、リーダーシップとチームワークのスキルを磨く、大きな助けとなるでしょう。このスキルを利用して、自分が属するコミュニティに、良い影響を与えていくつもりです。」

もう1人のFRVのヤングタレント奨学金受賞者であるAmina Adwanは、次のように述べています。「この素晴らしい賞がなかったら、私は世界のトップ大学の1つで勉強することはできなかったでしょう。IE大学で勉強することは、私の生涯にわたる夢を叶えるための、最初のステップとなりました。この奨学金を受けられて、本当に幸運でした。学生は世界中からやってきます。大学には、約80の異なる国籍を持つ人がいます。異なったバックグラウンドと異なったライフストーリーを持つ人たちと、コミュニケートできることは、とても啓発的です。そこから学べることは、たくさんあります。」

 勇気を与える企業

中東では、コミュニティ・ジャミールはMIT Enterprise Forum Pan Arab Regionと提携し、2006年に最初に行われた注目の年次イベントである、MIT企業フォーラム「アラブ起業アイディアコンテスト」(ASC)を主催しています。ASCは、アラブ地域で起業家に力を与え、イノベーションと、起業家精神のエコシステムを育成することを目的として、3種類のコンテストから、9組のチームを選抜し、16万米ドルの自己資金を必要としない助成金を授与しただけでなく、トレーニング、メンターシップ、コーチング、そしてメディアに紹介される機会を提供しています。

2019年3月に開催された、第12回ASCイベントでは、地域のスタートアップエコシステムから、900人以上のメンバーがレバノンのベイルートに集合しました。最初に開始されて以来、ASCの勝者は、1000万米ドル未満の費用で、14,000の雇用を創出してきました。モロッコ出身のSophia El Bahjaは、スタートアップ企業のNoBox Labで、社会起業家精神部門の準優勝となりました。彼女は、次のように述べています。「この経験は実り多いものでした。勝つかどうかにこだわらず、若い起業家には、このコンテストにとにかく応募するよう強く勧めます。」

2019年のASCの受賞者は、不動産投資家が、伝統的な投資資産とAirbnb投資資産の両方を迅速に見つける手助けをするパレスチナの会社のMashvisor、国際基準に沿って選別することができるようにして、顧客が新しい市場にアクセスできるようにする、手頃な価格の光学式フルーツ選別機を提供する、レバノンの企業のQuadra、そして持続可能な有機廃棄物管理を専門とする、レバノンのソーシャルビジネス、Compost Baladiでした。

将来のためのトレーニング

アブドゥル・ラティフ・ジャミール社は、サウジアラビアでは、4つの原則からサウジ国民のトレーニングの、リーン・マネジメント理論と実践における「カイゼン」コンサルタント・サービスを提供する、合弁事業を設立しました。4

カイゼンは、企業が効率性とパフォーマンスを向上させ、無駄を排除し、リソースを最大化する助けとなる、日本で開発された産業上の心構えです。この合弁事業は、厳選されたサウジアラビア国民(男女を問わず)が、リーン・マネジメント研修を提供するための2年間のプログラムへの参加を受け入れる予定です。彼らは、各自が、複数のセクターにまたがって運営されるコンサルティングの役割を持ち、国際的なビジネス管理アプローチに絶えず触れ、自らのキャリアにおける将来の指導的役割のための準備します。

アブドゥル・ラティフ・ジャミールインターナショナル社の、副社長兼副会長のファディ・M・ジャミールは、次のように述べました。「Saudi Vision 2030が明確にしているように、私たちの本当の富は、私たちの人々の野心と、若い世代の潜在的な能力にあります。彼らは、私たちの未来を設計する建築家です。

アブドゥル・ラティフ・ジャミール社が、サウジアラビアの国民に投資し、国際的な環境で学ぶ機会を提供しているのはそのためです。」

 

 

研究による進歩

一方、アメリカでは、Community JameelとMITが、2017年に共同で創設した、マサチューセッツ工科大学(MIT)のAbdul Latif Jameel World Education Lab(J-WEL)が、教育の文芸復興を推進し続けています。また最近では、同社と、アテネのMathisi InitiativeとThe Moraitis Schoolと共に運営されている教育プログラムへの参加も発表しました。

このプログラムは、ギリシャの中学生に科学、技術、工学、数学(STEM)サマープログラムを提供します。もっと広い基盤において、アブドゥル・ラティフ・ジャミール社とMITの間の永続的なパートナーシップは、何百もの大学院奨学金の創設を通じて、明日のビジネスリーダーをサポートしてきました。

そして誰も置き去りにしなかった

最後に、アブドゥル・ラティフ・ジャミール貧困アクション・ラボ(Abdul Latif Jameel Poverty Action Lab (J-PAL))と、Abdul Latif Jameel World Education Lab(J-WEL)(どちらもMITを拠点としています)は、できるだけ多くの人々が将来素晴らしいキャリアを積むために必要な教育を受けられるよう、努力しています。

2018年、J-PALはMITの難民アクションイニシアティブ(ReACT)と提携して、選択された難民のために新しいカスタムメイドの学習プログラムを作成し、J-PALとMITの経済学部が提供する「データ、経済および発展政策」におけるオンラインの、MicroMastersプログラムにアクセスできるようにしています。

左から右:MIT学長ラファエル・レイフ、コミュニティ・ジャミールサウジアラビア会長ハッサン・ジャミール、ラーニア・アル=アブドゥッラヨルダン王妃、およびセーブ・ザ・チルドレンインターナショナル CEO ヘレ・トーニング=シュミット、ダボスのWEFでの難民教育に関するラウンドテーブルにて撮影

同時に、J-WELは、中東の教員の能力やシリア紛争などの出来事によってひずみが起きている教育システム全体を強化するため、Save the Childrenの世界的教育チームと協力しています。

これらの野心に沿って、今年初めに、ダボスで開催された世界経済フォーラムで、コミュニティ・ジャミールサウジアラビアの会長であるハッサン・ジャミールは、中東の難民受入国の教育システムを支援するroundtableイベントにおいて、15人以上のリーダーが集まる会議を開催しました。

世界中のコミュニティ・ジャミールの取っている行動から、アブドゥル・ラティフ・ジャミール社の、多角的なビジネスの日々の商業運営まで、各ビジネス部門を通じて、可能な限り、そして可能な場合は常に、若者のニーズを認識して満たすということに対するコミットメントは、明らかです。彼らの経験の深さ、そして潜在力を解き放つことへの献身により、これらの組織は、すべての人のために、より良い未来を創造するという約束を達成するために、非常に良い位置についていることを意味します。

[1] World Employment and Social Outlook 2019, International Labour Organization, accessed May 2019

[2] Weak recovery in youth labour markets demands a sweeping response, International Labour Organization, 20 November 2017

[3] World Employment and Social Outlook 2019, International Labour Organization, accessed May 2019

[4] Sustainable Development Goals, United Nations, accessed May 2019

[5] Principle 6: Labour, United Nations Global Compact, accessed May 2019

[6] Benefits of Internships for Interns and Host Organisations, K4D, 15 June 2018

[7] Private sector urged to train Saudi youth, Arab News, 8 May 2019