世界的に人気な建築資材は、地球環境に最も悪影響を及ぼす存在でもあります。どうすれば、その悪影響を減らすことができるのでしょうか?

140億立方メートル。これは、私たちが年間で生産しているセメントの量です[1]。2050年までに、この生産量は200億立方メートルに達する見込みです[2]

セメントとしてそのまま使用されるか、コンクリート製造に使用されるかに関わらず、人類が最も多く消費している資源は、アパートからオフィス、学校、橋、道路、そして病院など、「あらゆる場所」で見ることができます。また、セメントは気候変動の最大要因の一つでもあり、コンクリート単独で世界のCO2排出量の7%を占めています[3]

セメントとコンクリートは、地球温暖化の上昇を1.5℃に抑える上で主要なターゲットとなっています。幸い、CO₂回収・有効利用・貯留技術(CCUS)、リサイクル、そして代替資材の利用など、革新的でより優れたソリューションが台頭し始めています。ただしこれには、膨大な投資、インセンティブ、規制、協調が必要となってくるため、前途多難です。

地球の未来はどうなるのか。まだ、確実なことはわかりません。

大変な苦労

セメントの生産量は、世界的な需要の高まりを受けて今後も上昇する見込みです[4]。しかし、Global Cement and Concrete Association(グローバルセメント・コンクリート協会/GCCA)は、2050年までに完全なる脱炭素化を呼びかけており、2030年までにセメント1メトリックトン当たりCO2の20%削減、またコンクリート1立方メートル当たりCO2の25%削減を目指しています(2020年を基準とする)[5]

MSCI Sustainability Institute(MSCIサステナビリティ研究所)によると、セメント業界がNetwork for Greening the Financial System(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク/NGFS)が公表する「2℃目標」シナリオに従い、2100年までにカーボンニュートラルを達成するには、2023年から2050年の間に収益ベースで炭素排出集約度を年平均7.2%削減する必要があると言われています[6]。この数値は、セメント業界が誓約したCO2排出量の削減率と相容れません(以下の図を参照)。

セメント業界の大規模な脱炭素化に必要な技術は、近いうちに技術成熟度または既存ソリューションのコストパリティを達成することはないものと予想される[7]

2023年8月現在、コンクリートメーカーの3分の1以上がネットゼロまたはカーボンニュートラル目標を宣言しています[8]。しかし、2050年までのネットゼロおよび1.5℃目標に沿ったScience Based Targetイニシアティブ(SBTi)が認定した目標を設定しているのは、これまでCemex(セメックス)とHolcim(ホルシム)の2社のみとなっています[9]

CO2削減を可能にするさらなる方法

2030年までは、コンクリート、セメント、クリンカーのより効率的かつ効果的な使用が、最大の進展を達成する鍵となります。その後は、CCUSがより重要な役割を担う可能性が高いでしょう。

残念ながら、特効薬はありません。コンクリートとセメントによるCO2削減には、サプライチェーン全体にわたる多角的かつ協働的な取り組みが求められます。以下の図が示すように、現在のペースでは2022年から2050年までの間にコンクリートおよびセメント産業が排出するCO2の量は98ギガトンに達する見込みです。これは、同セクターが世界的な1.5℃ロードマップの目標を達成する上で削減可能な量の二倍に相当します[10]

長期的なソリューションが重要であることに変わりはありません。ただし、ある推計によれば、新興の脱炭素化技術によって2030年までに約40%という急激な削減率を実現できる可能性があると予測されています[11]

どのような手段があるのか、見てみましょう。

コンクリートとセメントの使用量を減らす

これは、分かりやすい着手点です。コンクリートとセメント産業は、より多くのコンクリートをリサイクルして、その製造過程でもより多くのリサイクル資材を使用するべきです(この点については以下で詳しく検証)。北欧諸国では、分解や新規構造への組み入れが可能な再利用可能コンクリートモジュールの人気が高まっています[12]

また、本当に必要な建物のみを建築することが重要です。倉庫を公営住宅に変換するなど、多くの建物は用途変更が可能です。世界経済フォーラムの専門家は、2050年までにセメントおよびコンクリート産業に循環型ソリューションを適用した場合、約26億メトリックトンのCO2排出を回避または削減可能だと推計しています[13]

より多くの混和剤を加える

混和剤は、コンクリートの性質改善と耐久性向上に役立つため、製造量とコストを削減できます。また、コンクリートのリサイクルも容易にします。世界経済フォーラムによると、混和剤によってコンクリートのCO2排出量を現行の基準で最大30%、また更新された基準で最大50%、それぞれ削減可能だと推計されています[14]。混和剤が持つ脱炭素化のポテンシャルや、コンクリートの配合設計の適応などについて、より多くの人が学ぶ必要があります[15]

物流、そしてインフラへのアクセスを改善する

コンクリートとセメントは重く、利益率の低い商品のため、長距離輸送をするには費用が高くなりがちです。個々の工場が、原材料、低炭素エネルギー資源、二酸化炭素回収インフラ、そしてより効率的なサプライチェーンへの容易なアクセスを必要とします[16]。しかし、こうしたソリューションをすべて実現できる可能性は低いため、最終的には地域レベルでこのような問題を解決する必要があります。

代替燃料で製造工程を脱炭素化する

一般的なセメント工場の炭素排出量の3分の1は、窯を加熱する際の石炭、石油コークス、その他化石燃料の燃焼によるものです[17]。そこで、再生可能エネルギーによる窯の電気化が役立ちます。再生可能エネルギーを動力源とする高周波プラズマトーチには、将来性があります[18]。その一方で、下水汚泥などのバイオマスおよび廃棄物ベースの代替燃料への切り替えは、総排出量を推定で最大17%削減できます[19]。このアプローチには、すでに説得力のある活用事例があります。2022年、Cemexは英国で完全に代替燃料を動力源とする施設を完成させました[20]。同年、Holcimは同社の熱エネルギー需要の28%が代替燃料によるものであり、2030年までに50%の達成を目指すと発表しています[21]。MSCI Sustainability Instituteによると、代替燃料はセメント業界が表明した目標よりも炭素排出量をさらに低減させ、また低価格であることから、現行の2100年ネットゼロに向けたロードマップよりも著しく早いペースで長期的な炭素排出量を削減できると考えられています[22]。コンクリートおよびセメントメーカーは、自社窯における産業・一般廃棄物の利用に焦点を当てた、独自の廃棄物リサイクル事業の開発を進めています[23]

クリンカーをカットする

コンクリートの低価格なコスト、多用途性、そして耐久性は、クリンカーが持つ結合能力に大きく左右されます。コンクリートの主成分であるクリンカーとは、石灰石と鉱物を混合させたものです。残念ながら、クリンカーの製造過程では1,400°Cを超える温度にまで熱した窯で石灰石を焙焼するため、製造するセメント1メトリックトン当たりにつき約622kgのCO2が排出されています[24]。クリンカー単体で、セメント製造工程で排出される炭素の約90%を占めています[25]。そこで、クリンカーの使用を止めるか、炭素回収を通じた製造の脱炭素化という二通りの方法によって、クリンカーによる二酸化炭素排出量をほぼ半減させることが可能です[26]

SCMの使用量を増やす

クリンカーは、フライアッシュ、鉄鋼スラグ、リサイクルコンクリート、焼成粘土など、補助的なセメント系材料(SCM)として知られる炭素集約度の低い材料で代用可能です[27]。フライアッシュは石炭製造時に、高炉水砕スラグ(GGBS)は鉄鋼製造時に発生する副産物です。いずれも、クリンカーの製造を避けながら、廃棄物の効率的な利用を可能にします[28]。しかし皮肉なことに、石炭発電が消失し、鉄鋼製造がグリーン化を遂げることで、こうした材料は枯渇してしまいます。幸い、選択肢はこれだけではありません。焼成粘土は、世界中で見つけることが可能な自然由来の材料であり、セメント需要がピークに達しているグローバルサウスでも豊富にあります。ある推定によれば、仮に焼成粘土がセメント製造の定番となった場合、同セクターの炭素排出量を30~40%削減できると言われています[29]。現在、SCMは世界のセメント製造の約15%を構成しているものの、その割合が30%~50%にまで上昇する可能性があるという推計も存在します[30]

アルゴリズムを活用する

機械学習および制御技術によって、新興企業は低炭素の代替材料を組み入れながら、セメント品質を最適化できるようになりました。米国のグリーンセメント系スタートアップ企業Alcemy(アルセミー)は、ヨーロッパと米国全域にソリューションを拡張した結果、CO2排出量を50%削減しながら、品質も向上できたと報告しています[31]。また、Fero Labs(フェロ研究所)やAlCrete(アルクリート)などのスタートアップ企業は、セメントとコンクリート製造をリアルタイムで最適化して、CO2の混合比を低減させています[32]

炭素を回収する

クリンカーの脱炭素化は、製造工程で排出されるCO2を吸着化させることで実現できます。CCUSは、あらゆる選択肢の中で炭素排出量を削減できるポテンシャルが最も高く、Mission Possible Partnership(ミッション・ポッシブル・パートナーシップ/MPP)による『コンクリートとセメントのネットゼロを可能にする』レポートのすべてのシナリオにおいて、炭素排出削減の35%~50%を占めています[33]。理論上、CCUSは排出量ネットゼロのクリンカーを製造することも可能です。ただし、CCUSは比較的新しく、高額な費用を伴うほか、エネルギーおよび水を大量に使う技術でもあります。低濃度のCO2(約15%~20%)が排出された場合、それを適切な水準に濃縮するには多くのエネルギーが必要です[34]

CCUSは値段が高額なため、その使用は主に大手企業のほか、無機化炭素を使用する企業、政府支援企業、そして低価格な再生可能エネルギーを利用する企業など、貯留容量や回収炭素の利用が可能な組織に限られてきました[35]。一部の地域では、大手企業がCCUSに加えて改良できるものを検討しています[36]。またCO2は、建設廃棄物や解体廃棄物をリサイクルする際、コンクリート用骨材に貯留できます[37]

米国やヨーロッパなど、十分な量の低価格な再生可能エネルギーと協力的な規制が備わった地域に戦略的に建設されたメガプラントは、低炭素クリンカーの製造コストを最大で60%削減できる可能性があります。

回収した炭素の輸送、貯留、利用は、特にグローバルサウスで課題をもたらします。CCUSは脱炭素化にとって不可欠である一方、業界は研究、開発、投資、規制が追いつくまでの間、いまだ開発途上のこの技術に対する過度の依存は避けるべきです。脱炭素化の道のりを進むには、バランスの取れた、発展的なアプローチを採用し、上記のソリューションが実行可能になり次第、随時組み入れていく必要があります。

求められるさらなる資金、規制、そして協働

2050年までにネットゼロを達成するには、イノベーションと脱炭素化のイネーブルメントを可能にする環境を築く、政策と金融商品のポートフォリオが必要です[38]。RMIは次のように指摘しています。「業界の長期にわたる資本資産を踏まえると、2050年はわずか景気1サイクル先である。」[39] 大規模な新規投資がネットゼロ目標と確実に整合するよう、業界は今すぐ行動を起こす必要があります。

MPPコンクリート・セメントセクター移行戦略[40]は、セメントとコンクリートにおけるネットゼロ達成を描いた数十年にわたるロードマップであり、技術、金融、および政策面での有用な介入を必要としています。産業、政府、および金銭的ステークホルダーには、以下を含めた短期的な行動が求められます。

  • 低炭素コンクリートおよびセメントに対する需要を集約する、民間および公的なグリーン調達プログラム
  • 堅牢なテスト評価によって裏付けられた、性能ベースのコンクリートおよびセメント基準
  • 炭素市場:世界の二大セメント生産国である中国とインドは、いずれも国家的な排出権取引スキームにセメントセクターを含める計画を発表
  • 試験的プロジェクト向けの財政的インセンティブ:例として、米国エネルギー省(DOE)のクリーンエネルギー実証局(OCED)は、業界の脱炭素化対策を加速させるために63億米ドルを提供している[41]
  • Science Based Targetsイニシアティブ(SBTi)などのフレームワークの下で行われる排出量の目標設定および報告
  • CCUSの市場規制明確化による、安定した投資可能な市場環境の確保
  • 産業拠点における炭素管理とクリーンエネルギーインフラの共有:現在、MPPは米国カリフォルニア州ロサンゼルスとテキサス州ヒューストンの2ヶ所で、クリーンな産業拠点の配備を支援中

出費を惜しまない

世界経済フォーラムによると、2050年までに排出量ネットゼロを達成するには、現在の年間支出額のほぼ倍となる600億米ドルが必要だと考えられています[42]。しかも、これは差し迫ったセメントおよびコンクリート製造に関する費用のみであり、セメント工場における炭素回収装置だけでも3,900億米ドルが必要です[43]。『コンクリートとセメントのネットゼロを可能にする』レポートでは、次のように推計しています。

「[…]セクター内投資、CCUS輸送・貯留施設、水素インフラ、そしてクリーン電力生成を含む投資総額は、資本集約的なクリーンエネルギーおよび炭素回収インフラの建設によって、1兆500億米ドルから1兆4,200億米ドルへ35%増となるだろう。」[44]

新興技術と効率性に優れた物流・製造プロセスは、こうした金額の「一部」を相殺できる可能性があります。しかし、セメントとコンクリートの脱炭素化に伴う高額な費用に関しては、どうすることもできないのです[45]

現在は低炭素セメントの供給量が限られているため、環境に配慮したサステナブルな商品を高価格に設定できますが、いわゆるグリーンプレミアムは生産量の増加につれて減少することが見込まれています[46]

新たな財務戦略が求められている

ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会2023において、同フォーラムの戦略パートナーを務めるMcKinsey(マッキンゼー)は、セメントおよびコンクリート業界のステークホルダーが「セメントおよびコンクリートのバリューチェーンに対するベストな投資方法について、熱意と不安」を表明したと明らかにしています[47]

重要なのは、適切な技術を見つけ出して支援することです。建造環境の脱炭素化と同様に、「業界は資本の動員アプローチを再考すると共に、規模の面でも不十分で対象範囲を容易に定義できない、大規模なグリーン移行ファンドから離れる必要がある」とMcKinseyは主張します[48]

総会の出席者は、大規模な上場企業の買収に注力するよりも、バリューチェーン全体の影響を受けるプロジェクトファイナンスアプローチを推奨しました。これには、CCUSや確立された広範なグリーンテクノロジーや循環経済の原則に引き続き投資しながら、スタートアップ企業に投資することで次の段階への技術開発を加速させ、適切な技術が台頭した際に投資規模を拡大することも含まれます[49]

政府に求められる支援の形

民間セクターが、これを単独で成し遂げることはできません。公的資金と規制手段によって、この移行を支える必要があります。

建築基準法を改正する

既存の建築基準法は安全性と信頼性を重視していますが、これを新たな技術とグリーンな材料を支えられるように適合させる必要があります。例えば、建築基準法の大半は、製造過程でクリンカーを必要とする普通ポルトランドセメント(OPC)の使用を義務付けています。多くの市場は、SCMの使用量を制限しています(例:フライアッシュに関して、EUは35%、また米国は40%にそれぞれ制限)。焼成粘土や石灰石、やや高額なリサイクル素材など、より多くのSCM、または異種のSCMを配合したセメントを含められるよう、新たな基準が再評価される可能性もあります。これには、政策立案者と民間セクターによる、業界基準の発展を目指した協調的行動が求められます[50]

同様に、循環型ソリューションへの移行には、協力的な規制および基準が必要となります。

確実に成果は出ています。例として、2021年にカリフォルニア州上院で署名され、法律として成立した法案596を挙げることができます。この法案は、セメント業界が低炭素ソリューションを展開できるよう戦略を策定・実施して、2035年までにCO2排出量を1990年水準の40%減にするよう指令しています[51]

「ほぼゼロ」セメントに関する公共の調達目標と優遇税制を設計する

政府は、より多くのデマンドシグナルを発信する必要があり、それを実現できる有利な立場にあります。なぜなら、公的資金を注入されたインフラが、世界のコンクリート販売の40%~60%を占めているからです[52]

例えばフランスでは、2021年から2030年の間にかけて、セメント業界全体の炭素排出量を50%削減する政策を策定しています[53]。日本も類似のロードマップを公表したほか、カナダはセメントとコンクリートに関するブレークスルーアジェンダの共同主幹事を務めています[54],[55]。また、世界のセメントの半分以上を生産する中国は、2023年または2024年以降に排出権取引スキームの対象をセメントセクターにまで広げることを目標に掲げています[56]。同様に、EU Innovation Fund(EUイノベーション基金)は、革新的な技術に資金を提供することで、産業の脱炭素化を支援しています[57]

CCUSの資金を獲得する

CCUSは、特に政府の支援を必要としています。セメント製造工程で1メトリックトンのCO2を分離・貯留するには、最大で170米ドルの費用が発生します。ヨーロッパにおける1メトリックトン当たりのコンクリート製造コストが一般的に50~60米ドルである点を踏まえると、これは持続不可能なコストであることがわかります[58],[59]

この分野で道を拓いているのがノルウェーです。同国は、Heidelberg Materials(ハイデルベルク・マテリアルズ)との共同投資によって、世界初となる工業規模の炭素回収施設をセメント工場に建設しており、この施設は2024年末に完全稼働となる見込みです[60]。一方、米国のインフレ削減法の下では、回収・貯留した二酸化炭素1メトリックトン当たりで最大85米ドルの税額控除を受けることができます[61]。他国の政府も後に続き、CCUS工場建設に対する認可取得を容易にする可能性があります。

「炭素排出量がほぼゼロ」のセメントを指定する

世界経済フォーラムのFirst Movers Coalition(ファースト・ムーバーズ・コアリション/FMC)は、世界の二酸化炭素排出量の3分の1を占める「削減が最も困難な」産業セクターにターゲットを絞るよう、企業を団結させることに注力しています[62]。FMCは、建設会社からエンジニアリング会社、そしてデベロッパーや建築家に至る連合体のメンバーが、2030年までに年間使用量の最低10%に関して、「排出量がほぼゼロ」のセメントを購入または指定することを確約しなくてはならないと述べています[63]

スウェーデンの国有エネルギー企業であり、FMCの設立メンバーでもあるVattenfall(バッテンフォール)は、変革的なゼロ排出のセメント製造技術を熱心に探求しています。同社が見込んでいるのは、長期的な需要、よりサステナブルな公開入札、そして初期費用を上回るファーストムーバーアドバンテージです[64]。この事業は、20%~25%の割増額にも関わらずスウェーデンのサプライヤー間で需要増となっている、化石燃料を使用しない鉄鋼で活気づいています。また、「排出量がほぼゼロ」セメントに対する類似の需要も見込んでいるほか、特に再生可能エネルギーに関しては2030年までに需要の4倍増が予想されています[65]

共同の歩みを固める

セメントおよびコンクリートのバリューチェーンには、顧客と材料のサプライヤーの間に建築家と設計者、建設会社、物流会社など、多岐にわたるパートナーが携わっています。セメントのバリューチェーンにリサイクル素材を導入する場合、通常は互いに関わり合うことの少ない、最大で15もの当事者の協働を必要とすることも考えられます[66]。適切な循環経済には、適切な材料(および廃棄物)が適切なプレイヤーの下に必ず到達するよう、協働的取り組みが求められます。

セメント製造と廃棄物リサイクルは、高度に地域化された産業です。このため、クリンカーの製造・使用地域では効率性が求められるほか、より広範なサプライチェーンを機能させるためにグローバルな協働が必要です[67]。国際的な規模で事業を展開している多くのセメントメーカーにとって、この点は一筋縄ではいきません。FMCは、パートナーが複数の専門領域と地域にまたがって協力し、グリーンプレミアムのコストを分散させながら強力なデマンドシグナルを発信できるよう、メーカーによる透明かつ完全に連携の取れたバリューチェーンの構築を支援しています。McKinseyによるNet Zero Built Environment Council(ネット・ゼロ建築環境協議会)などの広範なグリーン建設イニシアティブもまた、セメントおよびコンクリートをグローバルな循環経済に移行する上で役立つはずです[68]

コンクリートなしの世界を築くことはできるのか?

コンクリートが存在しない世界は、まだ現実的な目標ではありません。しかし、二酸化炭素排出量を大幅に削減したセメントとコンクリートを製造することは「可能」です。すでに気球規模の温室効果ガス排出量の25%、また燃料燃焼による地球規模の排出量の40%という大部分を建設業界が占めています[69]。建設業界が劇的な変化を遂げるには、最も重宝している材料、そして唯一かつ最大の原因に焦点を当てる必要があるでしょう。

 

[1] https://gccassociation.org/concretefuture/societal-demand-for-cement-and-concrete/

[2] https://gccassociation.org/concretefuture/societal-demand-for-cement-and-concrete/

[3] https://missionpossiblepartnership.org/action-sectors/concrete-cement/

[4] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[5] https://gccassociation.org/concretefuture/

[6] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[7] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[8] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[9] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[10] https://rmi.org/five-insights-on-the-concrete-and-cement-industrys-transition-to-net-zero/

[11] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[12] https://www.sintef.no/en/latest-news/2023/new-concrete-from-old-buildings

[13] https://www.weforum.org/agenda/2023/01/concrete-cement-circularity

[14] https://www.weforum.org/agenda/2023/10/new-technologies-decarbonizing-cement-production/

[15] https://www.weforum.org/agenda/2023/10/new-technologies-decarbonizing-cement-production/

[16] https://rmi.org/five-insights-on-the-concrete-and-cement-industrys-transition-to-net-zero/

[17] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[18] https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959652623030718

[19] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[20] https://www.cemex.co.uk/-/rugby-cement-plant-welcomes-uk-energy-minister-to-explore-opportunities-for-decarbonisation

[21] https://www.holcim.com/who-we-are/our-stories/decarbonizing-holcim-alternative-fuels

[22] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[23] https://www.mckinsey.com/industries/engineering-construction-and-building-materials/our-insights/decarbonizing-cement-and-concrete-value-chains-takeaways-from-davos#/

[24] https://www.constructionnews.co.uk/sustainability/carbon-cementing-net-zero-22-11-2021/

[25] https://www.mckinsey.com/capabilities/sustainability/our-insights/spotting-green-business-opportunities-in-a-surging-net-zero-world/transition-to-net-zero/cement

[26] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[27] https://www.mckinsey.com/industries/engineering-construction-and-building-materials/our-insights/decarbonizing-cement-and-concrete-value-chains-takeaways-from-davos#/

[28] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[29] https://lc3.ch/why-lc3/

[30] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[31] https://www.aenu.com/insights/why-we-invested-in-alcemy/

[32] https://www.forbes.com/sites/jimvinoski/2023/06/21/this-startup-is-using-ai-to-reduce-emissions-in-hard-to-mitigate-industries/

[33] https://missionpossiblepartnership.org/industry-comes-together-around-real-world-roadmap-towards-net-zero-emissions-in-concrete-cement/

[34] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[35] https://www.weforum.org/agenda/2023/10/new-technologies-decarbonizing-cement-production/

[36] https://www.mckinsey.com/industries/engineering-construction-and-building-materials/our-insights/cementing-your-lead-the-cement-industry-in-the-net-zero-transition

[37] https://www.weforum.org/agenda/2022/11/circularity-a-key-enabler-to-reach-net-zero-in-concrete-and-cement/

[38] https://rmi.org/five-insights-on-the-concrete-and-cement-industrys-transition-to-net-zero/

[39] https://rmi.org/five-insights-on-the-concrete-and-cement-industrys-transition-to-net-zero/

[40] https://www.missionpossiblepartnership.org/making-net-zero-concrete-and-cement-possible-report/

[41] https://www.energy.gov/oced/industrial-demonstrations-program-0

[42] https://www.weforum.org/agenda/2023/10/new-technologies-decarbonizing-cement-production/

[43] https://missionpossiblepartnership.org/industry-comes-together-around-real-world-roadmap-towards-net-zero-emissions-in-concrete-cement/

[44] https://missionpossiblepartnership.org/industry-comes-together-around-real-world-roadmap-towards-net-zero-emissions-in-concrete-cement/

[45] https://missionpossiblepartnership.org/industry-comes-together-around-real-world-roadmap-towards-net-zero-emissions-in-concrete-cement/

[46] https://www.weforum.org/agenda/2023/10/new-technologies-decarbonizing-cement-production/

[47] https://www.mckinsey.com/industries/engineering-construction-and-building-materials/our-insights/decarbonizing-cement-and-concrete-value-chains-takeaways-from-davos#/

[48] https://www.mckinsey.com/industries/engineering-construction-and-building-materials/our-insights/decarbonizing-cement-and-concrete-value-chains-takeaways-from-davos#/

[49] https://www.mckinsey.com/industries/engineering-construction-and-building-materials/our-insights/decarbonizing-cement-and-concrete-value-chains-takeaways-from-davos#/

[50] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[51] https://www.msci-institute.com/insights/concrete-steps-for-speeding-the-decarbonization-of-cement/

[52] https://www.weforum.org/agenda/2022/08/6-countries-taking-action-to-solve-concretes-emissions-problems

[53] https://www.globalcement.com/news/item/15783-france-ciment-to-reduce-co2-emissions-by-50-by-2030

[54] https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/transition/transition_finance_technology_roadmap_cement_jpn.pdf

[55] https://www.canada.ca/en/innovation-science-economic-development/news/2022/11/government-of-canada-and-cement-association-of-canada-launch-roadmap-to-net-zero-carbon-concrete-by-2050.html

[56] https://www.asiafinancial.com/china-carbon-market-expansion-delayed-caijing

[57] https://www.weforum.org/agenda/2023/10/new-technologies-decarbonizing-cement-production/

[58] https://urldefense.com/v3/__https:/www.iea.org/data-and-statistics/charts/levelised-cost-of-co2-capture-by-sector-and-initial-co2-concentration-2019; https://www.google.com/url?q=https://urldefense.com/v3/__https:/papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id%3D3816593*:*:text%3DWe*20assume*20shipping*20costs*20based,2030*20for*205*20Mtpa*20CO2.__;I34lJSUlJSUlJQ!!Im8kQaqBCw!qYnmVM7rdc1-bZQM4akwrGGBeIlmlNODL1B0HqIZ7AOqF4ScBvh03-GpHnpLjh-XAeyOzt1mlXeUmbrVkGYKc4OfGePRYeFaWY0$&sa=D&source=docs&ust=1718880253758500&usg=AOvVaw1gcVSf7VJ86RXPCSSBlsz9

[59] https://urldefense.com/v3/__https:/cembureau.eu/media/jpthbmva/co2-costs-in-eu-cement-production-december-2021.pdf__;!!Im8kQaqBCw!qYnmVM7rdc1-bZQM4akwrGGBeIlmlNODL1B0HqIZ7AOqF4ScBvh03-GpHnpLjh-XAeyOzt1mlXeUmbrVkGYKc4OfGePRAgmhMxM$

[60] https://www.brevikccs.com/en#:~:text=Brevik%20CCS%20is%20HeidelbergMaterials%20most,cement%20for%20decades%20to%20come

[61] https://www.iea.org/policies/16255-inflation-reduction-act-2022-sec-13104-extension-and-modification-of-credit-for-carbon-oxide-sequestration

[62] https://www.weforum.org/first-movers-coalition

[63] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[64] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[65] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[66] https://www.mckinsey.com/industries/engineering-construction-and-building-materials/our-insights/decarbonizing-cement-and-concrete-value-chains-takeaways-from-davos#/

[67] https://www.greenbiz.com/article/how-decarbonize-concrete-and-build-better-future

[68] https://www.mckinsey.com/capabilities/sustainability/how-we-help-clients/mckinsey-platform-for-climate-technologies

[69] https://www.mckinsey.com/capabilities/operations/our-insights/global-infrastructure-initiative/roundtables/glasgow-cop26-2021-decarbonizing-the-built-environment