スモールビジネスが大きな変化を生むために

この数十年で中東がこれほど急速に発展できたのは規模のおかげだ、とつい考えてしまうかもしれません。そのときに思い浮かぶのは、例えば、2024年の純利益が1,000億米ドルを超えるサウジアラビアの巨大国営石油企業、Saudi Aramco(サウジアラムコ)[1]や、あるいは国境を超えて物流、ガス、採掘および流通事業を展開する、収益500億米ドルとされるAbu Dhabi National Oil Company(アブダビ国営石油会社)[2]などかもしれません。民間領域であれば、複数の市場で数世代にわたり持続的な成功を収めているAbdul Latif Jameel(アブドゥル・ラティフ・ジャミール)のような企業も含めていることでしょう。
これらの企業が中東の成長において欠くことのできない役割を果たしてきたことに疑いの余地はありません。ただし、こういった壮大な例にばかり目を向けていると、さらに大きな真実を見過ごす恐れがあります。それは、この地域内のいわゆる「中小企業」(SME)の一貫した権勢です。
MENA地域の全企業の90%超を占めているのはSME(一般的に従業員が250名未満、収益が5,000万米ドル未満の企業を指す)であり[3]、農業セクターを除けば、そこから10分の7の雇用が生まれています[4]。
サウジアラビアのような国では、SMEの精力的なネットワークが国の経済を支えています。彼らはこの国の2024年のGDPのおよそ30%[5]、すなわちサウジアラビア全体で創出された1兆900億米ドルのほぼ3分の1[6]に寄与しています。
その他にも、SMEのエコシステムに関する数値は同様に上昇傾向にあります。例えばエジプトでは、SMEの国内GDPシェアは2024年までに43%に達しています。トルコでは、SMEは雇用の70.5%、GDPの約60%に寄与しています[7]。UAEでは、SMEの数は50万社を超え、石油を除くGDPの63%以上を創出しています[8]。ヨルダンのSMEは同国のGDPの約50%に寄与し、雇用全体の60%、同国の輸出の45%を担っています[9]。オマーンでは、SMEはビジネスの98%を構成し、石油以外のGDPの33%に寄与する一方、民間セクターの労働力の76%を雇用しています[10]。
全体として、SMEはアラビア湾岸諸国全体でGDP合計の15〜30%を担っていると国際通貨基金(IMF[11])は試算しています。これは経済体の標準からしてもかなりのシェアと言えます。
政府系投資ファンドがSMEをサポート
MENAT(中東、北アフリカ、トルコ)地域全体でSMEセクターの上昇傾向は続き、70%を超えるSMEのリーダーたちが今後しばらくは業績が安定または拡大すると予想しています[12]。サウジアラビアでは、「ビジョン2030」国家開発プログラムの一環として、政府はGDPにおけるSMEの比率を2030年までに35%に引き上げることを計画しています[13]。オマーンでは、SMEは毎年約5万件の新規雇用を創出すると予測されています。一方UAEでは、遅くとも2031年までに、少なくとも20社のユニコーン企業(評価額が10億米ドル以上のスタートアップ企業)が誕生すると期待されています。
SMEの相対的な重要性は国ごとに違いがありますが、国家経済に特別な影響を与えるSMEの中心地がいくつも発生しています。
テクノロジー系のスタートアップ企業がますます存在感を強め、フィンテックやeコマース、医療テックなどの「将来性ある業界」への投資を意欲的に活用して成長しています。投資の観点から言えば、これらのテック依拠型セクターは、AIやモノのインターネット、スマートシティ、スマートカーなどの最新傾向を考慮すると、比較的将来性があると思われます。
ある研究では、MENA地域全体の750社近くの小規模テック企業が、1年以内に「スケールアップ企業」(100万米ドル以上の投資を獲得)へと成長し、合計で195億米ドルの対内投資を集めて50%の年間成長を遂げています[14]。MENA内の急成長を牽引するUAEは、339社のスケールアップ企業を擁し、次いでエジプト(140社のスケールアップ)、第3位にサウジアラビア(132社のスケールアップ)が続きます。その他すべてのMENA地域のスケールアップ企業は、合計で20%未満です。
これほどまでにテック系SMEの豊かな土壌となっているUAE、サウジアラビア、エジプトの共通項は何でしょうか? それは、強力な政府系投資ファンドへのアクセス、テクノロジーの成長を支援し化石燃料経済を脱却するための正式な政府指令、そして優秀な世界のテック起業家を惹きつける健全な競争です。
UAEは政府系投資ファンドの面でリードしています。アブダビ投資庁(ADIA)が合計8,530億米ドルの資産を管理し、それとは別にドバイ投資公社(ICD)は3,200億米ドルのファンドを独自に運用しています[15]。7,760億米ドルの資産価値を持つサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)がすぐ後ろにつけていますが、その積立金の大部分は、中小企業が規模を拡張し、自立した企業へと成長を遂げるために運用されています。
これらのイニシアチブはすべて奨励されるべきです。活気あるSMEコミュニティがもたらすメリットは、雇用創出と経済的な成長を超えて余りあるからです。
SMEが生活水準を引き上げる
地域の成長の強力な促進要因として、SMEは新興世界の生活水準を引き上げ、平等性を改善するのに欠かせない存在です。
国家レベルでは、SMEは特に新興国においてはGDP創出の大きな割合を担い、得た金銭は医療や住宅、教育など、人口全体の便益のために活用されます。
より地域的なレベルでは、SMEは数百万の雇用を創出します。これらの雇用は労働者の収入確保を保証し、各世帯の日々の食事や住居の暖房、医療費の支払い、最新の利便性への投資を可能にします。SMEにより資金が地域経済にとどまるようになり、これらの同じ利益を遠く離れた大企業に転送するのではなく、地域住民やビジネスを直接的にサポートします。また、税金をコミュニティの近くにとどめ、緑地や公共交通機関などの施設の拡充を支援します。
SMEは地域経済の多様化においても重要な役割を果たしており、大企業が近隣地域を離れたり特定の業界が衰退しはじめたときに生じうる、コミュニティに対するある種の「ショック」を和らげます。例えばサウジアラビアでは、SMEの14%が小売業、13%が建設業、10%が飲食業[16]に特化しており、これらの割合の低さが真に多様化したSMEのエコシステムを表しています。
超地域密着型のSMEもまた、コミュニティのアイデンティティ意識を育て、社会が機能するための基礎を強化するのに有益です。彼らは、顔の見えない企業体と比べると、はるかに密接にコミュニティの人々や性質を代表する存在です。また、彼らには慈善活動を支援する傾向も見られます。ある調査では、中小企業の半数以上が慈善活動への寄付を行っています[17]。
さらにもうひとつ、増しつつあるSMEの影響力の恩恵を受ける、誰にも関係することがあります。それは環境です。
気候変動との戦いにおいてSMEが果たす役割
世界が迫り来る気候危機に立ち向かうなか、SMEは環境に対してかなり有益であることが示されています。小規模企業は既存の建物に拠点を構える傾向にあります。大企業のように専用の建物を建設するための定期的な投資を賄う財力はないからです。こうしたことで放置されたインフラに新たな命を吹き込み、自然の風景を侵食する開発の助長を回避しています。さらに、より小規模な企業は地産の素材を専門的に扱い、最終製品のカーボンフットプリントを削減します。同様に、地域に居住する労働者は、化石燃料を使用する交通機関ではなく徒歩や自転車で通勤する傾向が高くなります。
地球温暖化が私たちの一生にわたる決定的な課題であることを考えると、SMEが環境対策に直接的に貢献しているという証拠を見つけるのに中東全域をそう遠くまで見わたす必要はありません。
例を挙げると、Green Touches(グリーンタッチ)というUAEのドバイを拠点とするエコフレンドリーな環境クリーン企業があります。この企業は、一切の有害な化学物質を避け、ナノテクノロジーを活用して自社生産したサステナブルな製品のみを使用して住居やオフィスの清掃を行います。UAEのように渇水の起きやすい気候では、この手法はさらに大手の商業的競合他社に比べて水の消費も少なくて済みます。
また別の例として、アブダビとパキスタンのラホールに拠点を構える企業、RePlaste(リプラステ)があります。RePlasteは、「未来の大理石」とも称される「Sapore」という特許取得済み複合材料を使用して、プラスチック廃棄物を循環製品へとアップサイクルするサステナブルなデザインスタジオです。
サウジアラビアでは、環境に特化した多数のSMEのうちのひとつ、SecondSky(セカンドスカイ)が、地域の雇用機会を創出しながら未来の世代のための環境保護に取り組んでいます。マッカ州トゥワルに拠点を置くSecondSkyは、温室向けの放射熱をブロックするナノコンポジット素材を製造しています。農業において光粒子は通しながら熱ストレスを防ぐために設計された素材は、作物の耐性を高め、栽培できる期間を伸長して、増加する人口に対する食糧供給を支援します。
エジプトでは、Jameel Investment Management Company(JIMCO、ジャミール・インベストメント・マネジメント・カンパニー)の投資対象であるFlexstock(フレックストック)が、消費者と企業の両者向けに、オンラインeコマースとフルフィルメントを運営するためのより効率的でサステナブルなテクノロジーソリューションを提供しています。
これらのSMEは、一般的な見解に反して、規模は必ずしも問題ではないということを示しています。SMEには大手のライバルと競うほどの社員数や財務諸表はないかもしれませんが、その数の多さとバリエーション、そして事業を推進する個々人の熱意を原動力に躍進しています。
経済や環境における彼らの重要性を考えたときに、MENAT全域の各国政府はどのようにSMEを支援し、さらなる成長を促すためには何ができるのでしょうか?
各国のSME支援戦略
サウジアラビアでは、ビジョン2030戦略により経済の独立性と輸入依存の脱却の重要性が強調され、複数のイニシアチブがSMEの起業家向けに手厚く支援を提供しています。
Kafalahはサウジアラビアの公式な中小企業融資保証プログラムであり、2024年9月時点で融資補償に266億米ドル以上が提供されています。[18]サウジアラビア中央銀行、国家開発基金、中小企業庁の連携により運営されているKafalahは、2006年の設立以来、2万3,000社以上の個々のSMEを支援し、100万件近くの雇用を創出してきました。
観光業、製造業、エンターテイメント業などのセクターを支援するKafalahは、締結する合意におけるリスクエクスポージャーの最大95%を負っており、2025年中にその投資額をさらに20%拡大することを目指しています。Kafalahの支援を受ける企業は成長の潜在能力が高く、8%の零細企業が小規模企業へ移行し、さらに小規模企業の4%以上が中規模企業へと拡大しています。時の経過とともに、KafalahはAIを活用したシステムを使用するようになり、処理時間は48日から36時間へと短縮されました[19]。
サウジアラビアの中小企業庁(Monsha’atとしても知られる)は、2030年までにSMEの国内GDPへの寄与を35%に高めることを目指しています[20]。多くのイニシアチブに加え、Monsha’atは、リヤド、アルコバール、ジェッダ、マディナにサポートセンターを置き、社会開発銀行の起業家育成プログラムの参加者に研修とアドバイザリーサービスを提供しています。Monsha’atは、特に急成長するeコマース分野で起業家精神の育成を図るため、14の都市・地域でeコマースのプロモーションツアーを開催しました。また、将来を見据えるMonsha’atは、University Entrepreneurship Council(大学起業家会議)を設立し、学生に対して起業家精神の価値を説いています。
UAEでは、政府はこれと同じ産業主義の精神を十全に活用すべく尽力しています。2022年にはEntrepreneurial Nation 2.0(創業国家2.0)スキームを立ち上げ、2030年までにさらに8,000社のSMEとスタートアップ企業の育成を目指しています。その前身となるスキームでは、融資ソリューションとデジタルツールを中心とする10種の個別プログラムが導入され、民間セクターの数百万ドル規模のパートナーを数多く惹きつけました。また、UAEはトップの起業家らを当地域に惹きつけるために「ゴールドビザ」を導入しています。
周辺の小規模諸国も同様に、SME活動のさらなる育成に力を入れています。カタールでは、SMEのリスク回避のために信用保証を提供するAl Dhameenや、カタール開発銀行およびカタール大学と連携した起業家向けの支援パートナーシップであるMa’anなど、カスタムメイドの資金調達手段を立ち上げています。オマーンでは、SMEの成長を支援する独自のイニシアチブが複数策定されています。現在、3万社近いSMEに研修と融資の機会への特権的アクセスを提供している起業家精神カードスキームなどがあります。
より広範な地域では、エジプトがSMEへのインセンティブとなる新たな税制を導入しています。その法令第6条では、SME向けの租税優遇措置と簡素化された会計プロセスが規定され、収益が20万米ドル未満の企業は税率が1%以下、また印紙税とキャピタルゲインの免税が定められています。同様に、トルコでは今年始めに、SME向けにトランシェが設定された輸出企業と外国為替の変動に影響を受ける企業向けの新たな11億3,000万米ドルの支援パッケージが導入されました。同国では、事業管理を簡素化し、インフレの影響を制限するためのさらなる法制化が進められています。
しかし、このような支援プログラムのインフラが整備されていても、地域全体を通じたSMEの活動を活性化するにはまだできることがあります。
SMEの成長を促進するには融資へのアクセスが必要不可欠
主な課題のひとつは、同地域のSMEは融資へのアクセス改善が必要だということです。世界経済フォーラム(WEF)の報告によると、SMEはMENAT全域の登録企業の96%を占めているにもかかわらず、運用資金の貸出銀行のわずか8%にしかアクセスできていません[21]。
この不均衡に対処すべく、WEFは、SMEの弁済能力を算出して財務的耐久力に対する信頼を強化する、組織的な監査および規制フレームワークを求めています。その取り組みの中心となるのは、政府、監査機関、銀行および民間投資家により構築される標準化されたツールに基づく、広く認識されている「クレジットレディネス」システムです。
このようなイニシアチブにより、国ごとの一連の新たな規制、すなわち財産権や契約実施、担保および倒産制度を強化する法律が整備されるでしょう。これらの政策は、民間投資家と公的投資事業体いずれもの信頼レベルに明確なインパクトを与えるかもしれません。両者を合わせ、より堅牢な法的環境が整うことで、年間で数百万件の新規雇用が創出される可能性があります[22]。
立法府は、知的財産権(IP)やデータ保護に関する規制を正式に制定することで、特にテクノロジーなどの有望セクターのイノベーターにアピールできるかもしれません。その他に、株主がすべての投資額に対して最大のリターンを得られることを確実にするにはどうすればよいのでしょうか?
資金と企業プロファイルを高める機会へのアクセスを提供する新規株式公開(IPO)もまた、同地域でSMEを強化する戦略のひとつかもしれません。このようなステップには、慎重な進行計画が必要になります。企業は、適正な市場の選択、税務上の取り扱いの評価、IPO後の配当金の計画、そして透明性ある財務データの整備をする必要があります。サウジアラビアのNomuやアブダビのADX Growth Marketなどの並行株式市場は、上場基準が他の主要市場よりも軽く、規模の小さい企業が成長資金を確保するための道筋を提供しています。
SMEセクターのニーズを満たすには、上述のようなさまざまな方策が必要になります。雇用、収益、そしてGDPが拡大し続ければ、これらはすべて正しかったと証明されるでしょう。
SMEのエコシステムを支援するその他の政策
SMEが繁栄するための道筋を示す効果的な戦略が、世界各地で導入されています。
例えばカナダ、フランス、マレーシア、英国、米国では、SMEは「ナショナルチャンピオン」プログラムを通じて財務サポートとアドバイザリーサポートを同時に受けることができます。これには、デジタルマーケティングやリーダーシップスキル、外国取引などの重要な領域に関する個別カウンセリングをはじめ、競争の激しい今日の市場環境において不可欠なツールが含まれます。SMEのリーダーは、いかに多様な人材を自社の労働力に取り込み、サステナビリティの実践に備えるかについても学びます。これらは、事業を拡大していく際のESGの信頼獲得に欠かせません。
最も成功している支援プログラムは、実績が示すように入念な選定プロセスを伴います。彼らは特定のニーズに合わせてソリューションをカスタマイズし、適合するインセンティブを提供し、確立された民間セクターのプレーヤーのスキルを取り込みます。
世界銀行グループ(WBG)は、成功しているSME支援イニシアチブを複数例示しており、それを参考にして新興地域で同様の戦略が生まれるかもしれません[23]。
- 英国は、研究開発にかかわるSMEの税額控除を提供
- カナダとマレーシアは、モバイルSMEネットワークを運営し、遠隔地域の起業家がサポートにアクセスできるよう支援
- インドは、調達機会への合理化されたアクセスを提供
- ナイジェリアは、小規模企業向けにIT戦略に関するガイダンスを提供
- ガイアナは、グリーンビジネステクノロジー基金を運営し、エコビジネスの概念を実用化
グローバルな銀行システムも、イノベーションの出現に対して財政的支援を行うことで、自身の役割を果たさなければなりません。自由と成長はファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)のある文化でしか開花しませんが、これは私たちの住む現実世界からはかけ離れています。翻って私たちの世界では、17億人の人々が基本的な銀行取引や融資ファシリティへのアクセスを欠き、世界の人口のほぼ4分の1が安全に金銭を借りて貧困から抜け出すためにその資金を活用することもできません。
WBGの2020年ユニバーサル金融アクセスイニシアチブは、取引口座を通じて金銭を受け取れる成人の数を増やそうという取り組みです。これは、SMEが融資を受ける際に必ず必要となることです[24]。しかし、経済的なブラックスポットはいまだ存在し、金融的に疎外された世界の人々の75%が25ヶ国に居住しています。ここには、トルコやエジプトなどの経済大国も含まれます。SMEのエコシステムを加速させるには、このずっと解消されていない不均衡に対処する必要があります。
民間資本はいかにSMEの成長加速を支援できるか
SMEの成長を支援する公的な金融および規制のフレームワークと同様に、民間資本も重要な役割を果たしています。
民間資本は忍耐強い資本であり、短期的に四半期ごとの大きなリターンを返す必要はありません。その代わり、有望なSMEと革新的なアイデアが、変化し続ける世界の波に乗り、より長期的で持続的な利益を追求することをサポートできます。
民間資本を有望な事業活動に向けることは、Jameel Investment Management Company(JIMCO)の核となる目的です。2018年以来、JIMCOは、世界各地の市場やコミュニティのダイナミズム促進に貢献できる潜在能力を持つチームや技術に資本を投入してきました。UAEの大手金融プラットフォームであるZiina(ジーナ)などのSMEは、個人やビジネスが即時払いを利用することを可能にしています。2021年以来、Ziinaは前年比で10倍という驚異的な成長率で年間8億ディルハム超の資金を処理してきました。その他の例を挙げると、リヤドを拠点に開発者フレンドリーなAPIを構築するB2BフィンテックプラットフォームのLean Technologies(リーンテクノロジー)、バーレーンを拠点とする暗号資産取引プラットフォームのRain Financial(レインファイナンシャル)などがあります。
ジャミールファミリーもまた、電動トラックのパイオニアであるRIVIAN(リビアン)や、電動航空機のイノベーターJoby Aviation(ジョビーアビエーション)の初期投資家です。この2社は、飛躍的な成長を遂げた元SMEです。
単純な事実として、ますます不確実さを増すこの世界では、グローバルな関税や貿易戦争がニューノーマルとなりつつあります。SMEはそういった向かい風からの保護を提供し、成長を促進して地域雇用を提供するだけでなく、最も必要とするコミュニティ内に金銭をとどめておく役割も果たします。彼らは、特に高いイノベーションと強い野心を持っていても融資へのアクセスが弱い脆弱な経済において、精力的な官民セクターのサポートを受けるに値します。SMEは、定義としては規模が小さいかもしれません。しかし、よりサステナブルで公平な未来を実現するための彼らの役割は計り知れません。
MENAのSME:5つのクイックファクト
- MENA地域の企業のうち何割がSMEか?
MENA地域の90%を超える企業が中小企業(SME)です。 - 同地域でSMEが提供する雇用の数は?
農業セクターを除き、SMEはMENA地域における70%の雇用を提供しています。 - サウジアラビアの2030年までのSMEのGDP比率の目標は?
サウジアラビアは、ビジョン2030プログラムの一環として2030年までにSMEのGDPにおける比率を30%から35%に高めることを目標としています。 - MENAのSMEがアクセスできている銀行貸出の割合は?
MENA全域の登録企業全体の96%を占めているにもかかわらず、SMEは銀行貸出のわずか8%にしかアクセスできていません。 - テック系スタートアップ企業の多くの「スケールアップ」の拠点となっているのは何ヶ国か?
3ヶ国(UAE、エジプト、サウジアラビア)がMENAでスケールアップした全テック系スタートアップ企業のうち80%以上を擁しています。トップはUAEで、339社のスケールアップ企業の拠点となっています。
[1] https://www.aramco.com/en/investors/annual-report
[2] https://www.arabianbusiness.com/industries/energy/adnoc-companies-report-50bn-revenue-and-9bn-net-profit
[3] https://www.weforum.org/stories/2021/11/improving-access-to-finance-for-businesses-mena-region/
[4] https://leadersinternational.org/results-insights/how-ready-are-smes-in-the-mena-region-for-a-greener-more-sustainable-future/
[5] https://sidracapital.com/insight/unlocking-saudi-smes-growth-potential-ipos-as-catalysts-for-growth-and-innovation/
[6] https://www.arabnews.com/node/2592994/business-economy
[7] https://data.tuik.gov.tr/Bulten/Index?p=Small-and-Medium-Sized-Enterprises-Statistics-2023-53543&dil=2
[8] https://u.ae/en/information-and-services/business/small-and-medium-enterprises
[9] https://meii.org/programs/countries/jordan/
[10] https://www.elibrary.imf.org/view/journals/002/2025/014/article-A003-en.xml
[11] https://www.imf.org/en/Publications/Policy-Papers/Issues/2019/12/13/Enhancing-the-Role-of-SMEs-in-the-Arab-World-Some-Key-Considerations-48873
[12] https://www.zawya.com/en/smes/finance/72-of-mena-smes-eye-similar-or-increased-revenue-in-2023-t6t1bd29
[13] https://clarixconsult.com/smes-role-in-driving-economic-growth-in-the-middle-east/
[14] https://www.entrepreneur.com/en-ae/entrepreneurs/infographic-the-top-10-mena-countries-for-tech-startups-in/456413
[15] https://businesschief.ae/corporate-finance/top-10-biggest-sovereign-wealth-funds-in-the-arabian-gulf
[16] https://thebusinessyear.com/article/smes-in-saudi-arabia/
[17] https://smallbiztrends.com/food-prices-rising-october-2022/
[18] https://www.arabnews.com/node/2572837/business-economy
[19] https://www.arabnews.com/node/2572837/business-economy
[20] https://fastcompanyme.com/impact/small-and-medium-businesses-are-vital-to-the-middle-east-how-can-they-grow/
[21] https://www.weforum.org/stories/2021/11/improving-access-to-finance-for-businesses-mena-region/
[22] https://www.weforum.org/stories/2021/11/improving-access-to-finance-for-businesses-mena-region/
[23] https://blogs.worldbank.org/en/psd/center-attention-lessons-small-and-medium-enterprise-support-centers-across-globe
[24] https://www.worldbank.org/en/topic/financialinclusion/brief/achieving-universal-financial-access-by-2020