MITのAbdul Latif Jameel世界教育研究所と公益社団法人セーブ・ザ・チルドレンは、中東難民の教育危機問題に協力して取り組んでいます
J-WELとセーブ・ザ・チルドレンは協力して、危機的状況における教師の専門的な開発プログラムに社会的・精神的幸福を組み込み、ヨルダンでプログラムを試行しています。
社会的企業組織たるCommunity Jameelとマサチューセッツ工科大学(MIT)によって2017年に共同設立されたAbdul Latif Jameel世界教育研究所(J-WEL)は、シリア紛争に起因する中東地域における緊迫した教育システムに立ち向かう主な取り組みを、本日発表しました。J-WELはMITにおいて、教師の能力を強化するため、セーブ・ザ・チルドレンのグローバル教育チームと協力を続けています。
MITとCommunity Jameelの支援を受けて、J-WELとセーブ・ザ・チルドレンの専門家たちは、追加サポートが必要な人向けの、教師の幸福と教育の質のいずれにも対応する組織的な教師専門性開発プログラムの品質を高めるために1年以上もの時間を費やしました。セーブ・ザ・チルドレンとJ-WELの共同作業の念願は、他の緊急事態に適応させて拡縮することができる試行プログラムを提供することです。
2011年に危機が始まって以来約600万人がシリアを逃れましたが、そのほとんどの人が中東に残ったままです。政府の統計によれば、現在ヨルダンには100万人以上が在留しており、このことは特に教育分野に著しい負担となっています。ヨルダンでは、教師たちは極めて困難な環境の中にありながら、国際的認知度のある教育システムを維持するためにひときわ熱心に取り組みました。シリア難民を含む学齢期児童数の増加に対応するために、多くの教師たちが直ちに採用されました。
Helle Thorning-Schmidt(セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルCEO)とHassan Jameel(Community Jameel Saudi Arabia社長)は、新たな取り組みに関する会議の席で、中東地域にまたがる教育改革への彼らのコミットメントを確認しました。
Jameel氏がこの会議での発言で次のように述べました。「Community Jameelは、教育を人やその周囲の人々の生活を改善するためのツールとして考えています。このことが、本日立ち上げられたプロジェクトでCommunity Jameel、J-WEL、セーブ・ザ・チルドレンの任務を完璧に結びつけているのです。私たちは、精神の発達を伴う子どもたちを支援するためには教師に思いやりと共感が必要であって、危機的状況においてはとりわけそうであると認識しています。このように、教師の専門的能力の育成への複合的なアプローチを通じて質の高い教育実践と生徒の学習を改善させることが基本です。」
Helle Thorning-Schmidt(セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルCEO)と元デンマーク首相は次のように述べています。「ヨルダンは、シリアでの残虐な戦争から逃れた数十万人の子供たちに避難所を提供することによって、大きな思いやりを示しています。これらの子供たちの多くは、本来目にしたり経験したりするはずのないことを目にし、経験してきました。
「彼らに最も必要なのは、教育と優れた教師が提供できる正常な状態に戻ることです。私たちのプログラムは、戦争による見えない傷から回復できるように教師がこれらの子供たちを支援し、すべての子供が享受すべき質の高い教育を受けられるようにすることを目的としています。」
セーブ・ザ・チルドレンの「目に見えない傷」に関する報告書( シリア内戦中に実施されたその種の最大の研究)は、シリアの子供たちの悲惨なメンタルヘルス危機を明らかにしました。彼らが取り上げて論じた子供たちについては自傷、自殺企図、夜尿症、会話障害および攻撃的または内向的素行などが増えています。メンタルヘルスの専門家は、シリアの子供たちが発育上の問題につながる「毒性ストレス」の兆候を示していると警告も発しています。
この発表は、国連総会期間中に開催された首脳会談で行われ、世界の指導者に対し、難民に教育を提供するための積年の公約を加速し改善するよう求めています。この会議では、とりわけFilippo Grandi(国連難民高等弁務官)とChristos Stylianides(人道援助・危機管理担当欧州委員会委員)が参加し、国家教育制度に難民集団を含める取り組みと、資金援助を含むより大きな責任分担を支援するための取り組みについて探求しました。
編集者メモ
セーブ・ザ・チルドレンは、世界120カ国以上で活動し、昨年は5,600万人の子どもたちに手を差し伸べました。中東では、難民の子どもたちに緊急援助、物資、教育を提供する活動を行っています。(難民教育に関する私たちの既存の教育プログラムについての活動の詳細を挿入してください)。
このプログラムで探求できる解決策の種類は次のとおりです。
- ヨルダンでは、子供たちは学校で成績がふるわず、教室はストレスフルな環境であると思っています。100万人以上のシリア人がヨルダンに避難し、そのうち66万人が難民に登録されています。その結果、ヨルダンとシリアの両子供たちは、教室で成長していくための多くの障壁に直面しています。
- 生徒の学習到達度国際調査プログラム(PISA)によると、ヨルダンの15歳以上の子供の半数以上が、2015年における科学、読解、数学的能力において基礎レベルに達しておらず(OECD平均の2倍)、また、ヨルダンはPISA参加国と経済圏の中で最も低い評価を得ている。
- ヨルダンの教育省は、7年以上前のシリアでの紛争勃発以来、難民の子どもたち固有の教育ニーズに対応するためにいくつかの措置を講じてきました。これらには、新たな教師の雇用、シリアの子供たちのための無料の公立学校への入学許可、二部制学校で第2のシフトを備えることが含まれます。
- 国連難民高等弁務官事務所によると、私たちがケアする1720万人の難民のうち、640万人が5歳から17歳の学齢期にあるとのことです。彼らの教育の利用機会は限られており、350万人が学校に通うことができません。
- 小学校に通う難民の子供は、世界平均が91%であるのに対し、わずかに61%です。
2016年国連総会合意の詳細
2016年9月の2つの首脳会談のイベントで、熱意を込めた公約とともに、難民の窮状をめぐって世界各国が団結しました。そのうちの1つは、難民と移民に関する国連首脳会議を主催した国連総会(UNGA)でした。サミットでは、193の加盟国が「難民・移民のためのニューヨーク宣言」に署名しました。これは、人権と責任分担の原則によって強調され世界中でますます増加する難民と移民のニーズに対処するためのグローバルな計画です。これは、以下の2つのプロセスを始めるものです。第1は、包括的難民対応枠組みの構築、第2は難民のためのグローバル・コンパクトの開発です。第2のイベントは、世界的難民危機に関する首脳会議でした。このイベントに参加することで、政府はさらなる難民支援を誓約しました。
Community Jameelについて
Community Jameelは広範囲のイニシアティブを通じて、コミュニティが自身を変えることを支援する社会的企業組織です。雇用の機会を創出し、失業問題に取り組み、中東および世界中の芸術と文化を促進し、貧困緩和と食糧と水の安全に関する研究を可能にし、教育と訓練の機会を提供するために努力しています。
Community Jameelは、コミュニティーを支援するというジャミール家の伝統を継続するために、2003年に正式に設立されました。この伝統は、Abdul Latif Jameel事業の創業者である、故アブドゥル・ラティフ・ジャミール氏により1940年代に始まったもので、ジャミール氏は生涯を通して何万人もの恵まれない人々の生活改善の支援をしました。
詳細については、www.communityjameel.orgをご覧ください。
J-WELについて
今年初めに発足したAbdul Latif Jameel 世界教育研究所(J-WEL)は、MITとCommunity Jameelとの共同機関です。グローバルな共同作業は、教育者、大学、政府、企業が教育の効果と範囲に革命をもたらし、技術の進歩、グローバリゼーション、世界規模の高生活水準の追求によって急激に変化する労働市場のあらゆる場所での人材獲得を支援することを目的としています 。J-WELの指導的関心事は、途上国の学習者、女性や女児などの教育が不十分な者の人口、および流民(難民を含む)人口の増加です。
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