• 核融合発電の商業化を促進し、世界中に無限の再生可能エネルギーを供給することを目指す戦略的投資
  • Commonwealth Fusion Systemsは、2025年までに核融合による正味のエネルギーの生産を実証し、2030年代初期までに核融合発電の商業化を目指す
  • JIMCOは今回の投資を通じて、世界経済を牽引する主要産業の未来に貢献する最先端技術への支援を継続

ジャミール・ファミリーのグローバル投資事業を統括するJIMCOの事業部門であるJIMCO Technology Fund(ジムコ・テクノロジー・ファンド)は、核融合発電の商業化に向けたCommonwealth Fusion Systems(コモンウェルス・フュージョン・システムズ、以下CFS)の18億米ドルを超えるシリーズB資金調達ラウンドに参画を表明しました。

2018年にMIT(マサチューセッツ工科大学)のスピンオフとして設立されたCFSは、高温超伝導(HTS)マグネットと世界初の核融合実証炉の開発に取り組んでいます。

3年の研究の末に開発されたHTSマグネットは、核融合発電の商業化への道を切り拓く革新的な技術です」とCFSのボブ・マムガードCEOは語ります。

「核融合発電の商業化は世界的なエネルギー移行に重要な役割を果たすと期待されており、巨額の投資が相次いでいます。脱炭素化に向けた大規模なソリューションの模索が続く中で、エネルギー業界やIT業界の企業をはじめ、ベンチャーキャピタリスト、ヘッジファンド、大学基金などの幅広い投資家から資金が寄せられています。

ジャミール・ファミリーが、JIMCO Technology Fundを通じて核融合発電の商業化に向けた戦略的投資に参加してくださることを大変嬉しく思います」

「トカマク式」と呼ばれる現在の核融合炉は、正味のエネルギーを生産するのに一定の規模を必要とします。CFSのHTSマグネット技術は、この核融合炉の磁場を大幅に強化するもので、超高磁場の形成による核融合炉の大幅な小型・低コスト化と、核融合炉実現までのタイムラインの短縮に向けた取り組みを加速します。このHTSマグネット技術は、現在米マサチューセッツ州デベンズに建設中のSPARCに採用される予定で、2025年までに核融合による正味のエネルギー生産を実証する計画を着実に推進しています。

SPARCは、ARCと呼ばれる世界初の商用核融合発電所への道を切り拓くカギとなります。「今回の資金調達により、核融合によるクリーンエネルギーの商業化を最短で実現する目処がつきました」とマムガード氏は語ります。

JIMCOをはじめ、再生可能エネルギーの未来と気候変動の緩和に向けたビジョンを共有してくださる投資パートナーに感謝しています」

ジャミール・ファミリーの責任投資監督委員会で委員を務めるファディ・ジャミールは、民間資本の重要性について次のように強調しています。「民間投資家は、科学研究者や大学と密接に協力していくことが大切です。ジャミール・ファミリーはMITやその他の研究機関と密接な関係を築き、世界が直面する危機の解決に向けて画期的なアイデアや最先端技術の開発を支援してきました」

「今回のCFSへの投資は、すべての人々にとってより持続可能な未来を築くための一歩です。また、ファミリー投資家が率先してグリーンテック経済におけるビジネス機会に『寛容資本』を投じることで、世界に大きな変容をもたらすことが可能になると示せたのではないでしょうか」とファディは述べています。

核融合発電の商業化に向けたCFSの歩み:

  • 2018年:米国エネルギー省の2億米ドルの資金援助により、MITの数十年にわたる核融合研究をベースに設立
  • 2020年:SPARCが核融合による正味のエネルギー(Q>10)を達成できることを検証する一連の査読付き論文をJournal of Plasma Physicsに発表
  • 2021年:SPARCビル、製造施設、本社を擁する核融合キャンパスの建設に着手
  • 2021年:マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同で世界最強の磁場を作る画期的な高温超電導マグネットの開発および実証に成功
  • 2025年:核融合発電の商業化に必要な正味のエネルギー生産をSPARCで実証予定
  • 2030年代初期:世界初の核融合発電所「ARC」が完成予定

CFSは2018年の設立以来、20億米ドル以上の資金を調達しています。

Fady Jameel, front left, with Bob Mumgaard, and Hassan Jameel (back left) and Sidhesh Kaul

今回の資金調達ラウンドでは、ビル・ゲイツ、Coatue(コートゥー)DFJ Growth(DFJグロース)Footprint Coalition(フットプリント・コーリション)Fine Structure Ventures(ファイン・ストラクチャー・ベンチャーズ)Google Ventures(グーグル・ベンチャーズ)、JS Capital(JSキャピタル)、マーク・ベニオフ氏率いるTIME Ventures(TIMEベンチャーズ)、Senator Investment Group(セネター・インベストメント・グループ)、Tiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)、主要な大学基金などが新規参加を表明しています(企業名はアルファベット順に表示)。また、Breakthrough Energy Ventures(ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ)The Engine(ジ・エンジン)ENI Next(ENIネクスト)Equinor Ventures(エクイノール・ベンチャーズ)Future Ventures(フューチャー・ベンチャーズ)Hostplus(ホストプラス)Khosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)Lowercarbon(ローワーカーボン)Moore Strategic Ventures(ムーア・ストラテジック・ベンチャーズ)Safar Partners(サファー・パートナーズ)Schooner Capital(スクーナー・キャピタル)、Soros Fund Management LLC(ソロス・ファンド・マネジメント)、Starlight Ventures(スターライト・ベンチャーズ)Temasek(テマセク)など、気候変動の緩和に向けた核融合エネルギーの商業化に取り組む企業も追加投資を表明しています。

核融合エネルギーについての詳細は、以下の動画をご覧ください。