湾岸を代表する商業用不動産市場の1つになるという野心に向けた取り組みを行う中で、サウジアラビアはどのようにしてその住宅用不動産セクターに新たな投資を呼び込み、同国の変化する人口動態の課題に対応しているのでしょうか。

長期的な成長と国際的な成功は、サウジアラビアの不動産市場に対する野心の中核をなすものです。これは、一つには、サウジアラビア当局が、居住用住宅販売市場への民間セクターの貢献増大を求めるサウジアラビアの「ビジョン2030」国家開発計画を実現する上で、また経済の着実な成長を確保する上で、不動産の重要性を長いこと意識[1]してきたことによります。

「Vision 2030」は、次のように述べています。「不動産産業はサウジアラビアの持続可能な開発を促進する上で大きな役割を果たしています。それはすべての重要セクターにとって戦略的な生産要因となっています。それはまた、多岐にわたる経済や社会の各分野で投資プロジェクトを立ち上げるための基盤であることに加え、収入ベース、雇用創出型投資にとって重要なインセンティブでもあります[2]

最近の業績は予想値を達成していないものの – 2019年第1四半期の不動産価格指数は2018年第4四半期と比較して0.4%、2018年第1四半期と比較して4.9%下落しています[3] – 業界の専門家はサウジアラビアの不動産が長期的な勝者であると確信しています。

「過去2年間に経験した苦難にもかかわらず、サウジアラビアの不動産市場は、サウジアラビア政府によって現在計画および実行されている複数の改革により、全体的に前向きな見通しを維持しています[4]

市場の永続的な成功を確保するためにいくつかのイニシアチブが推進され、サウジアラビアの野心的な若者はますます住宅所有へと移行しており、経験豊富なオブザーバーはセクター全体において成長がまもなく見られるであろうと予想しているほどです[5]

2018年、サウジアラビア全域で住宅ローンの最大融資比率が引き上げられ、申込者はこれまでの85%の限度額の代わりに住宅ローンを通じて不動産の価値を90%まで引き上げることができるようになりました[6]。この動きは、住宅市場全体の活動を刺激することを目的としたものです。サウジアラビアの住宅省は、住宅ローン市場が2018年の800億米ドルから2020年までには総額1,340億米ドルを達成することを望んでいます[7]

 

2020年までに、サウジアラビア政府はまた、住宅価格と一人当たりの所得の平均比率を5倍までに抑え、サウジアラビア国民の住宅所有率を60%に高めることを望んでいます[8]。全国変革計画(National Transformation Plan)のもと、GDPに対する不動産の貢献度を2016年の5%から2020年には10%に引き上げることを目指しています。[9]2030年までには、国内全体で住宅所有率を70%に引き上げるという大望を抱いています[10]

サウジアラビア全体の住宅セクターを復活させる目玉として、数十億ドル規模の国家支援の投入が見込まれています。2017年のホワイトランド税の導入も、同国の住宅市場が抱える問題に取り組むという政府の明確な姿勢を示すものとして注目されています[11]。サウジアラビアの不動産投資信託(REIT)に関する規制の承認や、225億米ドルのリヤドメトロなどのさまざまな都市再生プロジェクトおよびインフラプロジェクトなど、その他の動き[12] (グローバル不動産コンサルタントJLLによると、交通システムに近接した不動産の価値は増加すると予想される[13])もまた、不動産市場全体に建設的に寄与することが期待されます。サウジアラビアの不動産業界に関する最近の報告書で、不動産コンサルタント会社のKnight Frank氏は次のように述べています。「最近導入された戦略的改革の一環として、不動産市場の刺激を目的とした政府のさまざまなイニシアチブが取られると同時に、民間部門がこのプロセスにおいて重要な役割を果たすよう奨励されていることから、長期的には楽観的な見方を持ち続けています[14]

2018年、住宅省はサウジアラビアの不動産開発基金(REDF)と提携し、Sakani IIを立ち上げました。これは全国で30万戸の住宅を提供することを目的としたプログラムです[15]。JLLの専門家は、これらのイニシアチブの最初の影響が近いうちに現れるであろうと確信しています。

2019年の予算発表で概説されているように、2019年は強力な改革の勢いと政府支出の増加を背景に、現在進行中の活動を示すであろうと予想されています商業活動が活発化し、外国投資が増加するに従い、これは不動産セクターに好影響を及ぼすと期待しています。また、中東最大の経済国として、民間需要が不動産および建設部門で大きな役割を果たすことが予想されます[16]

サウジアラビアの住宅市場にはかなりの数の新しい住宅が投入されているのは確かな事実です。2019年2月、サウジアラビア全土で建設中の不動産プロジェクトは5,200件ありました[17]。2018年には、リヤドで2万9,000戸の住宅が供給され、市の総供給量は130万戸を超えました。2020年末までに、さらに6万戸の住宅建設を完成する予定です。「手頃な価格の住宅セクターは、建設活動と不動産市場全体を牽引し続ける[18]」ことが予想されます。

ジッダでは、2018年に5,000戸弱の住宅が完成し、市の総供給量は817,000戸となりました。2020年末までに、さらに2,3000戸の住宅が完成する予定です。[19]

2018年にジェッダ市場に参入した住宅の中には、Al Salamah地区の複合施設J | ONEにおける 1、2、3、4ベッドルームの現代的なファミリーアパートメントの新築242 戸がありました。これはAbdul Latif Jameel Land社が初めて完了した住宅プロジェクトです。

Abdul Latif Jameel Land社の住宅開発部門は、都市部の個人や家族のニーズに応える現代的で質の高い住宅の開発に熱心に取り組んでいます。[20]屋外プール、ヘルスクラブ、ホームシアター、カフェ、ゲームルーム、保育園、ミニマーケットなどの施設を含む、64,000㎡の開発を完了したことで、J│ONEは即時のインパクトを与えました。

プロジェクト全体はわずか19ヵ月半で完了し、直ちに高評価を得、2019-2020アラビア不動産賞のサウジアラビアの住宅開発部門で名誉あるグローバル賞を獲得しました。

Abdul Latif Jameel社の会長代行兼副社長のフェイディ・M・ジャミール(Fady Jameel)氏は次のように述べます。「Abdul Latif Jameel Land社とサウジアラビアの両者の先駆的なプロジェクトとして、この賞はサウジのビジョン2030で特定されている住宅開発と住宅所有の目的を実現する上で私たちの将来的な可能性を証明するものです。居住生活の地域社会の要素を重視した点が、ジッダの市場においてJ / ONEを際立たせるものとなりました。

J|ONEで成功を収めた後、Abdul Latif Jameel Land社にとって2つ目となる住宅プロジェクト、Gallery Nがすぐに開始されました。2017年秋に発表され、1年後にそれが完成したときには、ジッダの住宅市場にさらに21戸の現代的なアパートが加わりました。これは同市のアルナダ地区にありますが、同社のポートフォリオに新たな受賞歴を付け加えるものとなりました。

5,200㎡の敷地に広がる6階建ての建物は、ミニマリストかつモダンな雰囲気に加え環境に配慮したこだわりが感じられます。グリーンルーフは吸熱を最小限に抑え、ソーラーパネルはクリーンエネルギーを提供します[21]。その一方で、中庭には休息とリラックスのための共同スペースが設けられています。

そして2019年6月に、Abdul Latif Jameel Land社はDari Qと呼ばれる同社の3番目の住宅プロジェクトを発表しました。統合されたコミュニティアメニティを備えた158戸の高級マンション開発です。この最新プロジェクトは、受賞歴のあるJ│ONE開発と同じ統合されたライフスタイルとコミュニティ重視のアプローチのもとで、同じくジッダ北部のAl Salamah地区にて立ち上げられました。2棟の建物で構成され、4つのはっきり区別されたエリアに、2、3または4つのベッドルームの間取りを持つホームは、あらゆる好みと生活様式に適した13の異なるフロアプランレイアウトがされています。複合施設には、小売店、屋上庭園、プール、ジム、屋外の座席区域、多目的の中庭(サッカー、テニス、バスケットボール、バレーボールコートあり)、ゲームルーム、最大90名まで収容可能なボールルーム、ラウンジなどが完備されています。

アブドゥル・ラティフ・ジャミールの会長兼代表取締役社長のモハメッド・アブドゥル・ラティフ・ジャミール氏(Mohammed Abdul Latif Jameel)は次のように述べました。Abdul Latif Jameel Land社は、Dari Qの発売により、引き続き住宅開発への先駆的アプローチをとり続けます。これはジッダのJ│ONEおよびGallery Nにおけるコミュニティ重視の生活の成功に培われたもので、私たちはサウジアラビアにこの3つ目のすばらしい住宅設備を建設できることを誇りに思います。Dari Qは、サウジビジョン2030で特定されている住宅開発と住宅所有の目標を引き続きサポートしていく中で、また市場での住宅需要に対する地域社会重視のソリューションの提供に引き続き取り組むうえで、弊社が誇りをもって成し遂げたもう一つの歩みといえます」

アブドゥル・ラティフ・ジャミールは、サウジアラビア全土およびそれを超えた人々の生活向上に取り組んでいます。コミュニティの暮らしは、Abdul Latif Jameel Land社の開発哲学の重要な柱であり、今後5年間に実現される、より積極的な開発プロジェクトとともに、すべての不動産設計の中心に位置付けられています。不動産プロジェクト開発への継続的な投資は、輸送、金融サービス、エンジニアリング、エネルギーにまたがる戦略の一部に過ぎず、すべての人にとっての良い未来を築く上でのインフラストラクチャ―ライフへ投資するものです。

[1] Vision 2030, Kingdom of Saudi Arabia, accessed May 2019

[2] Real Estate Price Index, First Quarter 2019, General Authority for Statistics, accessed May 2019

[3] Real Estate Price Index, First Quarter 2019, General Authority for Statistics, accessed May 2019

[4] The real estate market in Saudi Arabia in 2018: a closer look, Weetas, 11 February 2019

[5] Forecast, Saudi Arabia Real Estate Price Index, Trading Economics, accessed May 2019

[6] Strong domestic demand to drive growth in Saudi real estate market, Zawya, 27 May 2019

[7] Saudi Real Estate Refinance Co plans up to 4 bln riyal sukuk sale this year – CEO, Reuters, 23 April 2019

[8] Housing Program, Vision 2030, accessed May 2019

[9] Strong domestic demand to drive growth in Saudi real estate market, Zawya, 27 May 2019

[10] Strong domestic demand to drive growth in Saudi real estate market, Zawya, 27 May 2019

[11] Saudi Arabia Market Review and Forecast 2019, Knight Frank, accessed May 2019

[12] The real estate market of Saudi Arabia in 2018: A year in review, Weetas, 14 February 2019

[13] The KSA Real Estate Market, A Year in Review 2018, JLL, accessed May 2019

[14] Saudi Arabia Market Review and Forecast 2019, Knight Frank, accessed May 2019

[15] The KSA Real Estate Market, A Year in Review 2018, JLL, accessed May 2019

[16] The KSA Real Estate Market, A Year in Review 2018, JLL, accessed May 2019

[17] The real estate market of Saudi Arabia in 2018: A year in review, Weetas, 14 February 2019

[18] The KSA Real Estate Market, A Year in Review 2018, JLL, accessed May 2019

[19] The KSA Real Estate Market, A Year in Review 2018, JLL, accessed May 2019

[20] Sakan Jameel, Abdul Latif Jameel Land, accessed May 2019

[21] Gallery N, CA Plus Partners, accessed May 2019