水素エネルギー:ありふれた風景に潜むグリーン革命
想像してみてください。もし、私たちが必要とするすべての(そしてそれ以上の)エネルギーがいつでも手の届くところにあり、地球上で最もありふれた元素の中に、思うままに蓄えておけるとしたら。もし、この同じエネルギーを集積し、多くの経済セクターや人間の活動のさまざまな場面で電力を供給できるとしたら。そして、気候に悪影響を与える化石燃料から、私たちが永遠に解放されるとしたら。
知識がなければ、これはSFの世界の夢物語か、環境保護の悩みに対する誇大妄想的な解決策に聞こえるかもしれません。しかし、このユートピア的シナリオは、それほど現実離れしたものではないのです。
水素エネルギーについてお話ししましょう。
概念実証は十分に確立しており、水素エネルギーの生産と実用化は、すでに世界中で始まっています。
水素エネルギーは、その名が示すとおり、宇宙で最も単純で、最も豊富な元素である水素から発生します。空気中で水素ガスが燃焼するとき、酸素(O2)と水素(H2)が化学反応を起こしてエネルギーを放出します。このエネルギーを、燃料として利用できるのです。そしてその副産物は、H2O。そう、水です。
ただし、ここで少し問題があります。現在、世界で消費されている水素の約95%は、その製造プロセスの一部で化石燃料を使用しています[1]。最も一般的な手法である水蒸気メタン改質(SMR)には高温高圧の蒸気が必要です。このエネルギー源は、現時点では化石燃料だけが供給できるものであり、このことは環境への配慮の点で、水素の大きな欠点となっています。
しかし、未来の「水素経済」を担うイノベーターは、そう簡単にはくじけません。専門家は、現在は電力供給に適さなくても、そう遠くない将来に、水素が手頃でクリーンな方法で私たちの日々の生活を支えるというシナリオを描いています。水素は、長期的なエネルギー貯蓄に利用できる可能性があります。パースペクティブの記事で議論されている水素自動車向けや、加熱用、さらには、回収した二酸化炭素と反応させてクリーンな航空燃料を製造することも期待されています。大気中に無害な水蒸気が放出されるだけで、カーボンフットプリントが増えることはありません[2]。
このエネルギー革命に必要なのは、創意工夫、ほんの少しの決意、そして大胆な頭脳とテクノロジーの融合です。
イラストのタイトル:水素は、排出ガスゼロ車によるモビリティ革命を起こすかもしれない
脱炭素社会を導く
いわゆる「グリーン」な水素は、化石燃料ではなく再生可能エネルギーを使用して水を電気分解し、水素ガスを生成します。
再生可能エネルギーを貯蔵可能なガスに変換できれば、再生可能エネルギーの普及を阻んでいる2つの制約を克服できます。再生可能エネルギーは安定性に乏しく(太陽光や風力はそれぞれ太陽の光と風の吹き方に左右されます)、発電がいつでも確実に需要に応えられるわけではありません。
十分な電力を別にすれば、グリーンな水素の生産に必要なのは、水と電解槽という装置だけです。いったんすべてが揃ってしまえば、その有用性は計り知れません。
グリーン水素は、車や船の燃料電池への直接的な電力供給や、火力発電や暖房設備の燃料として、また米国で年間1,000万トン生産されている天然ガスを原料とする工業用水素の代替として利用できます[3]。
公的部門と民間部門がプロセスの改善に多大な時間とお金を投じており、次に注目されるものとして期待が高まるのも不思議ではありません。
クリーンな水素の開発は、水素の進展を妨げてきた課題の一部を克服できる可能性を秘めています。従来、水素の製造は環境に優しいプロセスではありません。現時点では、天然ガスが水素製造の主要なエネルギー源であり、その燃料コストは水素製造コスト全体の45%~75%を占めています[4]。また、化石燃料から水素を製造するということは、1975年以降、水素需要が3倍に増加する中、従来の水素製造で発生する炭素排出量も急増したことを意味します。現在、水素製造に伴い年間8億3,000万トンのCO2が排出されており、これは英国およびインドネシアの総CO2排出量にほぼ匹敵します[5]。
気温が上昇するだけではない
化石燃料企業は、パリ協定で合意された排出量削減目標を達成するため、事業活動においてかつてなく厳しい制約に直面しています。パリ協定では、今世紀中に地球の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2°C以下に抑えるという目標が掲げられています。これを達成するためには、すべてのセクターで大幅な排出量削減が必要となります。そのため、グリーン水素の研究では、しばしばこれらの企業が中心となることがあります。
2010~2050年の、再生可能エネルギーの急速な採用(REmap)と比較した場合の、現状の政策でのエネルギー関連の二酸化炭素排出量(参考事例)
たとえば、BPの太陽光事業関連企業のLightsource BP(ライトソースBP)は、西オーストラリアで1.5GW規模の風力および太陽光発電によるグリーン水素工場の建設に向けて動きはじめています[6]。
一方で、Shell Nederland(シェルオランダ)はEneco(エネコ)とパートナーシップを組み、ロッテルダム港で200MWの水素ハブを稼働させるオランダの洋上風力発電事業の入札に参加しています[7]。
世界各国の政府が、グリーン水素の潮流に乗りはじめています。英国やドイツ、日本、そして産業促進のために2億米ドルを超える基金を創設したオーストラリアも、水素戦略を発表しています。オランダは2025年までに500MWのグリーンな電解槽の運用開始を目指しており、ポルトガルは2023年までにグリーン水素を製造する新たな太陽光プラントを計画しています[8]。
特にヨーロッパでは、欧州委員会が2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標達成の切り札としてグリーン水素を認定するなど、大きな話題になっています。欧州委員会の段階的戦略は以下のとおりです。
- 2024年までに、EUに少なくとも6GWの再生可能な水素電解槽を設置し、最大100万トンの再生可能な水素の生産能力を確保する
- 2025年から2030年の間に、少なくとも40GWの電解槽を設置し、最大1,000万トンの再生可能な水素を生産する
- 2030年から2050年の間に、すべての「脱炭素化が難しい」セクターにおいて大規模な水素技術を配備する[9]
これはただの空約束として発表されたわけではありません。実際、これらの野心的な目標を達成するため、欧州委員会はEuropean Clean Hydrogen Alliance(欧州クリーン水素アライアンス)という新たなパートナーシップを立ち上げました。
国と地域のリーダー、銀行や業界のトップが集まるこのアライアンスでは、グリーン水素生産の規模化に向けた投資ルートを確保すると同時に、業界の共通基準や業界用語、認証ルールなどが検討されます。
このアライアンスにより、EUはこの領域のグローバルなリーダーシップを確立し、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けたEUの取り組みを支援することを目標としています。こうしたすべてが投資家の信頼性を高め、グリーン水素の可能性を実現させるために必要なインフラや物流ネットワークを確保できるようになります。
欧州委員会エネルギー総局のカドリ・シムソン氏はこう話しています。「EUのエネルギーシステムは、さらに統合を進め、より柔軟で、コスト効率の高いクリーンなソリューションに対応する必要があります。こうした動きの中で、水素は重要な役割を果たすことになるでしょう。再生可能エネルギーの低価格化と継続的なイノベーションにより、水素は気候変動に左右されない経済のための実行可能なソリューションとなるからです」[10]
水素風船は「価格」ではじけるか
多くの分野で言えることですが、やはりここでもお金がもの言います。水素は安いものではありません。欧州復興開発銀行(EBRD)によると、グリーン水素の現在の価格は1kgあたり3~6米ドルであり、一方、化石燃料で作られる水素は1kgあたり1~1.8米ドルです[11]。
これは不利と言わざるを得ません。そして、デメリットはまだあります。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2050年までに、世界のエネルギーミックスにおいて、再生可能エネルギーによる水素が約19EJ(エクサジュール)となると想定しています。しかし、その量の再生可能水素(もしくは水素ベースの製品)を生産するには、4~16TWの太陽光および風力による電力が必要になります[12]。
19EJの水素の生産には、少なくとも年間6,690TWhの電力消費が伴うと算出されています。これは、陸上風力発電で1,775GW、洋上風力発電で2,243GW、太陽光発電で4,240GW、原子力発電で957GWに相当します[13]。現在の設備容量に比べると、かなりのスケールアップです。現状では、陸上風力が23.4GW、洋上風力が540.4GW、太陽光が480.4GW、そして原子力が397GWです。
この気が遠くなるような数値を前に、業界の専門家の中には、暫定措置としていわゆる「ブルー水素」を提唱する人もいます。これは、天然ガスや二酸化炭素回収・貯留(CCUS)によって製造された水素のことです。残念ながら、このプロセスで「回収」できる排出炭素は約80%です。したがって、ブルー水素に依存するエネルギーエコシステムでは、依然として毎年何百万トンもの排出量に対処しなければなりません[14]。
純粋なコスト比較ではグリーン水素は不利に見えますが、昔からの需要と供給の原則を思い出してみるべきでしょう。使用量が増加すれば、必然的に価格は下がります。
たとえば、欧州復興開発銀行(EBRD)は、再生可能エネルギーの価格低下と電解コストの価格低下により、グリーン水素の価格は2050年までに1kgあたり1.5米ドルを下回り、天然ガスと同程度になると予測しています。しかも、炭素のペナルティによって化石燃料への締め付けがさらに厳しくなれば、この流れはますます加速するでしょう。
「おそらく私たちは、10年前か20年前の再生可能エネルギーと同じ状況にいるのだと思います。つまり、解決策が代替物より高価な状況です。もし取り組みが進捗し、その進展を後押しする政策があれば、すぐにコスト競争力を持つようになると予想しています」と、EBRDのクリスチャン・カラレット氏は話しています[15]。
同様に、国際エネルギー機関(IEA)は「水素の未来(Future of Hydrogen)」報告書[16]で、再生可能エネルギーによる水素の生産コストの低下と、水素生産の規模の拡大により、2030年までに水素製造コストが30%削減されると予測しています。
IEAはこう述べています。「特に太陽光発電と風力発電による再生可能電力のコスト低下に伴い、電解水素への関心が高まりつつあります。近年、いくつかの実証プロジェクトが実施されています(中略)。太陽光発電や風力発電のコストが低下する中、再生可能資源の条件が整った場所に電解槽を建設することは、水素を低コストで供給するオプションとなるかもしれません」
政策の展望
ハードルは高いものの、IRENAは再生可能エネルギーによる水素をエネルギー転換の「ミッシングリンク」と位置づけ、電化による脱炭素化が困難な分野に電力を供給することに躊躇はありません。
しかし、必要な民間投資を呼び込むには、好意的な政策や規制の枠組みが不可欠であるとの認識があります。
そのような状況下で、IRENAは以下の提言を行っています。
- 新技術導入の初期費用を相殺する、設備投資の助成金や税金の還付といった財政支援の手段の策定
- さらなる水素需要を刺激するための、産業界での排出規制および再生可能エネルギーコンテンツの委託の導入
- 長期的な送ガス網への供給の料金体系の確立
- 電解槽運用業者のアンシラリーサービス市場への参加権限付与
- 市場への浸透を促し、インフラと水素導入を支援するためのリスク回避型の投資[17]
さらにIRENAは、主要な技術の進歩に伴い、グリーン水素への需要の増加が見込まれるのは当然であるとも述べています。
固体高分子膜(PEM)型電解槽と燃料電池は、すでに日本やカリフォルニア、ヨーロッパなどの主要な市場で商業的展開が始まっており、規模の経済の実現が近づいています[18]。
さらに、新たなクリーン液体燃料であるエレクトロフューエルは、多くのケースで使用環境への設備設置を必要とせずに化石燃料を円滑に代替できます。
すでに複数の業界で、グリーン水素は気候目標の達成に即時的かつ多大な影響を与えうると認識されています。これには、石油化学業や製鋼業、またバスやトラック、列車や船舶などの中大型輸送車両をはじめとする大規模運用が含まれます。
モビリティは、おそらく最も成功している分野の1つでしょう。すでに水素の恩恵を活かす取り組みを進めるとともに、その認識を変える上でも一役買っています。
日本は、水素燃料電池自動車の世界的リーダーです。2025年までに20万台の水素車の普及を目標とし、2030年までには80万台に拡大する予定です[19]。これは、全国の道路での何百万台もの水素車の走行を目的とした、水素補給ステーションの全国ネットワークによりサポートされる予定です。さらに先を見ると、2025年までに320の水素ステーションを稼働させ、2030年までには900カ所まで増設が予定されています[20]。
日本の自動車大手であり、Abdul Latif Jameel(アブドゥル・ラティフ・ジャミール)の長年のパートナーであるトヨタ自動車は、以前から水素燃料電池技術は幅広い車種の自動車に適用可能であると主張し、今後10年間での燃料電池自動車の世界的な販売の大幅な拡大を見込んでいます。この予測のもと、同社は2021年末までに、毎年3万台超の燃料電池自動車を生産する計画です[21]。これは2018年の3,000台からの大幅な増加です。
実際、2018年にサウジアラビア初の水素燃料電池補給ステーションがダーラン・テクノ・バレー・サイエンス・パーク内に設置された際、その使用開始に選ばれたのは、Abdul Latif Jameelから提供されたトヨタの水素燃料電池車、MIRAIでした[22]。これは、水素エネルギーが進化を続けていることの確かな証です。
水素が電池のブレイクスルーを導く
将来的に生産されることを願うこのクリーンな水素エネルギーを、どのように貯蔵し、産業や輸送の電化に使用するのでしょうか。鍵となるのは、バッテリーと燃料電池です。
これらの技術には重複する部分があり、どちらも貯蔵された電気を化学エネルギーに変換し、いつでもどこでも必要なときに使用できるという性能を備えています。
国際エネルギー機関(IEA)によると、バッテリー電池を製造する世界の生産能力は、近年飛躍的に拡大しており、2020年の時点で年間320GWhの電気自動車(EV)用のバッテリーが生産されています[23]。これは、2019年に販売された210万台のEVを充電するには十分すぎる量ですが、この先の販売目標が順調に達成された場合、2025年に必要な1,000GWhという容量には不足することになります。この分野における先導者は中国で、世界の生産能力の約70%を占めています。米国の13%がそれに続いています。
対象的に、ヨーロッパは水素エネルギー用の電解槽の製造でリードしており、50万台の燃料電池車への補給に十分な年間1.2GWの生産能力を確保しています。2021年の初めに英国のシェフィールドでITM Power(ITMパワー)が世界最大の電解槽工場(年間で1GWを生産予定)を完成させ、その機運は高まっています[24]。
2000年~2019年の電解槽プロジェクトの平均設置規模
「理想的なのは、クリーンエネルギー刺激策がバッテリーと電解槽の製造に同時に適用され、この2つの技術間で相互波及的な便益が利用できることです」と、IEAは述べています[25]。
Abdul Latif Jameelでは、民間投資家は政府や大企業にグリーンなアジェンダを促進させることができると確信しています。限界を押し広げる技術的ポートフォリオを有し、また電池電力貯蔵に関する先駆的な研究実績にも助けられ、私たちは水素エネルギーの分野を拡大していける立場にあります。
2020年11月、Abdul Latif Jameel Energyの一部門である再生可能エネルギーのエキスパート、Fotowatio Renewable Ventures(FRV)を通じて、私たちは2件目となる実用規模の電池プロジェクトを英国の西サセックス州で開始しました。Harmony Energy(ハーモニー・エナジー)とのパートナーシップで進められている34MWのコンテゴプロジェクトでは、28個のリチウムイオン電池、Tesla Megapackを使用したシステムが組み込まれます。
コンテゴプロジェクトは、FRVの最初のプロジェクトであるドーセット州ホールズベイの7.5MWのバッテリー工場の成功をもとに進められています。また、水素を含む再生可能エネルギー分野の限界を押し広げる継続した取り組みの一環でもあります。
Abdul Latif Jameelの副社長兼副会長であるファディ・ジャミールが邁進する取り組みは、「英国が進める化石燃料からの移行の一環として、持続可能で再生可能なエネルギーモデルを形成する」というAbdul Latif Jameelの決意を讃えるものです。
そして、この地球を未来の世代にとって住みやすく、繁栄を約束する場所として維持するために、私たちが必ず実現させなければならない移行です。このすばらしく、新しいエネルギーの世界で、水素エネルギーの果たす役割はまだ完全には明らかになっていません。
しかし、私たちの社会の広範な領域を、環境に優しく持続可能な形で電化していく上で、グリーン水素の可能性は無視できません。
水素エネルギー分野における技術の進化は勢いを増しています。
もし公共政策が迅速に整備されていけば、この慎ましい元素が周期表を飛び出し、世界を舞台に高い地位へと飛躍する姿を目にすることができるかもしれません。
[1] https://www.vox.com/energy-and-environment/2018/2/16/16926950/hydrogen-fuel-technology-economy-hytech-storage
[2] https://webstore.iea.org/download/direct/2803?filename=the_future_of_hydrogen.pdf
[3] https://www.greentechmedia.com/articles/read/green-hydrogen-explained
[4] The Future of Hydrogen, IEA
[5] The Future of Hydrogen, IEA
[6] https://www.reuters.com/article/us-bp-hydrogen-australia-idUSKBN22K0IC
[7] https://www.smart-energy.com/renewable-energy/shell-eneco-announce-dutch-wind-powered-green-hydrogen-hub/
[8] https://www.ebrd.com/news/2020/is-green-hydrogen-the-sustainable-fuel-of-the-future-.html
[9] https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_1259
[10] https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_20_1259
[11] https://www.ebrd.com/news/2020/is-green-hydrogen-the-sustainable-fuel-of-the-future-.html
[12] https://www.irena.org/newsroom/articles/2019/Oct/Unprecedented-momentum-for-green-hydrogen
[13] https://www.rechargenews.com/transition/a-wake-up-call-on-green-hydrogen-the-amount-of-wind-and-solar-needed-is-immense/2-1-776481
[14] https://www.rechargenews.com/transition/a-wake-up-call-on-green-hydrogen-the-amount-of-wind-and-solar-needed-is-immense/2-1-776481
[15] https://www.ebrd.com/news/2020/is-green-hydrogen-the-sustainable-fuel-of-the-future-.html
[16] The Future of Hydrogen, IEA
[17] https://www.irena.org/-/media/Files/IRENA/Agency/Publication/2018/Sep/IRENA_Hydrogen_from_renewable_power_2018.pdf
[18] https://www.irena.org/-/media/Files/IRENA/Agency/Publication/2018/Sep/IRENA_Hydrogen_from_renewable_power_2018.pdf
[19] Japan: Taking a Lead in Hydrogen,
[20] Japan Sees Big Future in Hydrogen Cars
[21] Toyota plans to expand production, shrink cost of hydrogen fuel cell vehicles
[22] Saudi Aramco and Air Products to build Saudi Arabia’s first hydrogen fuel cell vehicle fueling station
[23] https://www.iea.org/articles/batteries-and-hydrogen-technology-keys-for-a-clean-energy-future
[24] https://renewablesnow.com/news/itm-power-moves-in-1-gw-per-year-electrolyser-plant-in-sheffield-726704/
[25] https://www.iea.org/articles/batteries-and-hydrogen-technology-keys-for-a-clean-energy-future