航空産業の脱炭素化
航空産業は、単なる運輸部門ではありません。社会の形成や経済の発展を促し、より持続可能な未来を創造する重要なカタリストとしての可能性を秘めた強力なグローバルネットワークです。
Air Transport Action Group(航空輸送行動グループ/ATAG)[1]は、航空産業がSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標のうち、15の達成に貢献できるとして、同産業が多方面に及ぼす影響を強調しています。
また、航空産業は全世界で8,770万人の雇用を創出し、1,130万人の直接雇用を生み出しています。ATAGの統計によると、航空産業は世界のGDPに3.5兆米ドルを寄与しています。これは、航空産業が国家なら、世界17位の経済大国になっていたことを意味します[2]。
しかしながら、航空産業が果たしてきた世界経済への貢献は、環境を犠牲にして成されたものです。航空産業は世界の温室効果ガス排出量の約2%、エネルギー関連の二酸化炭素排出量の2.5%を占めており、2018年の二酸化炭素排出量は約10億トンに上ります[3]。陸上輸送(温室効果ガス排出量全体の11.9%)や畜産(5.8%)に比べると大したことがないように見えるかもしれませんが、航空産業が排出する温室効果ガスの影響には凄まじいものがあります。
航空機が環境に及ぼす影響は、単なる燃料の燃焼だけではありません。大気中のさまざまなガスや汚染物質の濃度を左右し、短期的・長期的なオゾン濃度やメタン放出量を増加させるだけでなく、水蒸気、すす、二酸化硫黄・エアロゾルの放出や、飛行機雲(水蒸気の凝結)の発生をもたらします。一部には気温を下げる働きをするものもありますが、総合的に見ると、こうした影響は確実に地球温暖化を招いています。こうしたことから、航空産業が地球温暖化の要因に占める割合は3.5%と言われています。
要するに、私たちは今、航空産業がもたらす世界的な経済効果を維持しつつ、いかに地球温暖化を抑えるかという課題に直面しているのです。
航空産業の挑戦
航空産業はすでにこうした問題を真摯に受け止め、対策に乗り出しています。
2022年10月の第41回国際民間航空機関(ICAO)総会では、2050年までに国際航空セクターのカーボンニュートラルを目指す長期目標が採択されました。
この取り組みは、国連の専門機関であるICAOが2016年の総会で採択した「国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」[4]の後続となるものです。ベースラインを超える排出量を相殺するため、一定のルール(国際航空セクター全体の排出量に占める割合)に従って各運航会社にオフセット義務量が割り当てられ、カーボンクレジットを購入することが義務付けられています。
2023年末までの試験的運用におけるベースラインは2019年の排出量[5]に設定されていますが、2024年以降は2019年排出量の85%まで引き下げられる予定です。廃食用油を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)は、米国で多額の助成金が支給されています。CORSIAの否定派は、従来の航空燃料の一部をこのSAFに置き換えるだけで、カーボンクレジットの購入が完全に不要になる可能性があると指摘しています。
しかし、こうした意見は重要なポイントを看過しています。CORSIAは、単一の産業がグローバル市場規模で気候変動対策を打ち出した初の事例です。その点は評価されて然るべきでしょう。
環境規制の強化
グローバルな取り組みが賞賛に値する一方で、個別の国や政治・経済統合体の貢献も決して無視できません。例えば、欧州連合(EU)は2022年に排出量取引制度(ETS)を拡充し、航空産業を規制対象に含めることを決定しました。航空会社の無償排出枠は、欧州委員会の当初の提案から1年前倒しとなる2026年までに段階的に削減されます。まず2024年に25%、続いて2025年に50%削減される見込みです。
CORSIAの否定派は、EUの制度のカーボンクレジットの価格(1トンあたり約90ユーロ/96米ドル)がCORSIAの価格(1トンあたり3米ドル)をはるかに上回る点を指摘しています。一方、[6]CORSIAはほぼ世界中(下記の画像参照)で適用され、対象範囲が拡大され続けているのに対し、EUの制度は依然として貿易上の懸念に制約されています。英国とスイスは規制対象ですが、EU圏外の国への航空便は規制が免除されています。これは、2012年にEUの温室効果ガス排出規制に反発した中国が、ヨーロッパの航空宇宙企業Airbus(エアバス)の民間旅客機の購入を差し止めると圧力をかけ、米国も全航空便が対象になる場合は規制に応じない方針を表明した事例を受けてのことです。
CORSIAの対象地域
この過去の教訓に学ぶことがあるとすれば、地理的な枠組みで規制を実施するより、航空産業自体が主導する取り組みの方が広く受け入れられやすいということかもしれません。しかし、航空産業でさえも、この変革のカギを握る重要な側面をすべて掌握しているわけではありません。航空事業は複雑な網の目状になっており、燃料の生産、航空機の製造、空港管理や航空管制などは、それぞれ個別の事業体の管轄に分かれています。そのため、すべての事業者の間で一貫した合意がなされなければ、脱炭素化への道のりは極めて厳しいものになるでしょう。反対に、真の協力体制を確立できれば、航空産業とそこに関わる全員が「規模と相乗効果」の恩恵に預かることができるかもしれません。
航空産業への追い風の兆しもあります。過去数十年にわたり、航空機からの排出量の増加が鈍化してきたことは、航空機効率が大幅に改善されていることを示しています。実際、航空効率の指標であるRPK(有償旅客数 × 輸送距離)あたりの排出量は、2018年に約125gまで減少しています。1950年の排出量はその20倍、1960年でも11倍でした。
過去半世紀で航空効率が飛躍的に伸びた背景には、航空機の技術や設計の進歩に加え、航空機の大型化で1便あたりの旅客数が増加したことや、運航規模(有効座席キロ/ASK)に対する座席利用率(%)が増加したことが挙げられます。つまり、簡潔に言えば、現在の航空便は以前より満席だということです。
排出量削減目標
現在では、航空バリューチェーンに携わる多くの企業が 排出量削減目標[7]、SAFの導入、サステナビリティを推進する連合への加盟といったさまざまな環境目標を掲げています。
中でも顕著な例が、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)です。SBTiは、航空産業がパリ協定のネットゼロ目標に沿って環境目標を設定する際に非常に重要な役割を果たしています。
SBTiは、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)の4つの主要な国際NGOが共同で運営している取り組みです。
SGTiは、2050年のネットゼロ目標に向けて、企業と金融機関が最新の気候科学に基づいて野心的な排出削減目標を設定できるようにすることをミッションに掲げ、航空産業がパリ協定の1.5°C目標を達成するための暫定的なガイダンスを示しました[8]。これには、有償トンキロメートル(RTK)あたりの二酸化炭素排出量を2030年までに(2019年の排出量比で)30%、2035年までに50%以上削減する野心的な削減目標が示されています。これは、国際エネルギー機関(IEA)が提唱するネットゼロ目標に密接に関連するものです。
現在、科学的根拠に基づく目標を設定しているか、設定すると公言している航空会社は25社に上り、その大半はアメリカ大陸とヨーロッパに集中しています。世界の旅客輸送量の30%を占める航空会社のグループが環境への取り組みを明言したことは、航空産業が持続可能性に向けて大きく舵を切ったことを示唆しています。同時に、世界的なバリュープールの約20%を占める航空宇宙・防衛産業も、SBTiに沿って削減目標を定めると公約しています。[9]
効率化の焦点
これまで、二酸化炭素排出量の削減に関する議論の多くは、従来の化石燃料由来の燃料をSAFに置き換えたり、バッテリー電気駆動式または水素燃料電池式の航空機を導入するなどの燃料を中心とするものでした。しかし、ステークホルダーに協力の意志があれば、他にも効果的な施策はあります。例えば、McKinsey(マッキンゼー)の分析によると、2005年から2019年(新型コロナウイルス感染症以前)にかけて、フリートの更新をはじめ、ロードファクター(有償座席利用率)、座席密度、燃費効率化の改善プログラムが実施されたことで、旅客キロあたりの燃料消費量は約39%減少し、年平均成長率は約3.4%[10]になりました。
また、航空管制インフラを刷新して排出量の削減を目指す取り組みも主に2つあります。ひとつは米国のNextGen、もうひとつは単一欧州空域(Single European Sky/SES)[11]プログラムです。米国連邦航空局(FAA)[12]が監督するNextGenは、航空機の性能要件に基づいて、より短く正確な航空路線を選択する性能準拠型航法(PBN)を導入し、燃料の節約を図るものです。EUの単一欧州空域(SES)プログラムは、EUの空域を共有することで空の国境が解消される一方、ほとんどの航空路線は現行より49km飛行距離が伸びます。
国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務局長は、次のように述べています。
「SESを導入すれば、ヨーロッパの二酸化炭素排出量を直ちに10〜12%削減できます。技術への投資も不要です。
航空機にすでに搭載されている技術を活用し、最も効率の良い航空路を運航できます」
航空機のイノベーション
航空会社が二酸化炭素排出量を削減できる別の方法として、より効率の高い新型航空機を導入し、フリートを頻繁に更新することが挙げられます。将来的にSAFの使用が義務化されたり、ケロシン税を課すなどの規制が導入される可能性を考えると、このアプローチで排出量削減にかかるコストを抑えたり、場合によってはマイナスにできるかもしれません。
航空会社が今現在ある機種をフリートに導入すれば、現在保有している機種の状態次第で二酸化炭素排出量を最大15〜20%削減できる可能性があります。今後10年間にわたり、老朽化した航空機の大半は、エアバスA320neoやボーイング777Xのような環境に優しい次世代の航空機に入れ替えられていくでしょう。例えば、A320neo[13]は現在、同サイズの航空機の中で最も燃費が良く、燃料使用量と二酸化炭素排出量を20%削減できます。ボーイング777X[14]も、燃料消費量と二酸化炭素排出量の両方を10%削減できると言われています。
グリーン燃料への移行
国際航空運送協会(IATA)は、ジェット燃料が排出する二酸化炭素を削減できれば、国際航空セクター全体の二酸化炭素排出量を65%削減できると述べています[15]。
それが本当なら、2050年までにネットゼロ目標を達成する1番の近道はSAFの導入だと言えるでしょう。SAFは、航空機の設計や空港のインフラを変えることなく既存の燃料システムに統合できます。現在は化石由来のジェット燃料に一定割合のSAFを混合するのが一般的ですが、もしSAFを単独の燃料として使用できれば、航空機のライフサイクルCO2(LCCO2)をジェット燃料比で最大80%削減できる可能性があります。[16]
ICAOは、SAFを「持続可能性の基準を満たす再生可能または廃棄物を原料とするジェット燃料」と定義しています。SAFの定義が非常に重要なことは、最近のEUの法案を見ても明らかです。EUは、2025年以降、EU域内の空港から出発する航空便にグリーン燃料の搭載を義務付ける法案「ReFuelEU Aviation」を策定しました。EU域内の空港で使用する燃料について、まず2025年にSAFの混合割合を2%とすることが義務付けられ、2030年までに6%、2050年までに70%と段階的に引き上げられていく予定です。この指令では合成燃料(eケロシン)が優先されます。飼料・食料向けの作物やパーム油を原料とするバイオ燃料は、食料価格の高騰や森林破壊の加速を招くと物議を醸し出していることから除外されています。
SAFはメリットが大きい一方、依然として経済性の問題を抱えています。合成燃料の価格はジェット燃料に比べて最大10倍です。Boeing(ボーイング)のデビッド・カルフーンCEOは 「空輸の脱炭素化を安く済ませる方法はない」と発言しています[17]。
一部の航空燃料供給者は、すでにSAFの課題解決に取り組んでいます。例えば、Shell(シェル)は、さまざまなSAF製造技術への投資を行っています。現在は廃棄物からSAFと再生可能ディーゼルを生産するバイオ燃料施設をロッテルダムに建設中で、2025年から生産を開始する予定です。[18]
こうした進展にも関わらず、調査を見ると、多額の投資と技術の進歩があっても2050年までにSAFの生産量が航空燃料の需要に追いつかない可能性が示唆されています。コンサルティング会社のBain & Company(ベイン・アンド・カンパニー)[19]は、食用油と動物性油脂を原料とするSAFの一種であるHEFA(Hydro-processed Esters and Fatty Acids/水素化処理エステルおよび脂肪酸)について、原料が限られていることから2050年のジェット燃料需要の最大約8%を満たす程度の生産しかできないと予測しています。また、グリーン水素と二酸化炭素を組み合わせて製造される合成燃料(e燃料)についても、理論上では無限に生産できるものの、実際に大規模な生産が可能であるかは明らかになっていないと結論付けています。
水素燃料がもたらす希望の光
水素燃料は、脱炭素化を目指す航空産業にとって希望の光です。再生可能エネルギーを利用した水の電気分解によって製造されるグリーン水素は、ケロシンに代わる持続可能な「ゼロエミッション燃料」として注目を集めています。しかし、その大きな可能性や生産コストの急激な低下にも関わらず、構想から実用化への道のりは依然として険しいのが実情です。
2020年、Airbusは2035年までに水素燃料を用いるゼロエミッション航空機「ZEROe」を開発すると公約して話題となりました[20]。
続いて、Rolls-Royce(ロールス・ロイス)、easyJet(イージージェット)、Boeingなどの企業も水素技術の開発に乗り出しています。
例えば、Rolls-RoyceとeasyJetは、航空機用の水素燃焼エンジンの地上試験を開始しました。
Airbusはさらに、100人乗りの旅客機の動力源になりうる水素燃料電池エンジンを開発し、2026年頃に試験飛行を開始する計画を発表しています。
電動化への夢
電動航空機は、航空産業の脱炭素化に重要な役割を果たします。ただ、現時点では長距離飛行は実現しておらず、最大400マイル(約644km)までの比較的短距離の飛行に限られます。
英国のグリーン電力会社、Ecotricity(エコトリシティ)の創業者であるデイル・ヴィンス氏は、2024年に英国初の電動航空機「Ecojet(エコジェット)」の発売を予定しています。同社はグレート・ブリテンならぬ「グリーン・ブリテン」の旗手として、エジンバラとサウサンプトンを結ぶ19人乗りの電動飛行機の開発を進めています。
初飛行にはケロシンベースの燃料が使用され、その数年後にグリーン水素の航空機用エンジンに切り替えられる予定です。[21]
一方、Rolls-Royceの全電動飛行機「スピリット・オブ・イノベーション」[22]は、電動飛行機の分野を大きく前進させました。同社は、この全電動航空機が3kmにわたり時速555.9km、瞬間最高速度時速623kmを記録し、世界最速になったことを発表しています。世界最速の全電動航空機を開発するACCEL(Accelerating the Electrification of Flight/航空機の電動化促進)プロジェクトの一環として開発された同機は、500馬力以上(400kW)の電動パワートレインと航空機推進用のバッテリーパックを搭載しています。
さらに、Abdul Latif Jameel(アブドゥル・ラティフ・ジャミール)の投資機関であるAbdul Latif Jameel Investment Management Company(アブドゥル・ラティフ・ジャミール・インベストメント・マネジメント・カンパニー/JIMCO)が支援する米国カリフォルニア州のスタートアップ企業、Joby Aviation(ジョビー航空)も、完全電動の垂直離着陸機(eVTOL)の試作機を開発するために多額の資金を調達しています。この4人乗りの旅客機は時速320kmを誇り、充電1回あたりの航続距離は240kmです。ゼロエミッションで騒音もほとんどない低価格の「空飛ぶタクシー」を世界中に届けるべく、今も開発が進んでいます。
「エアタクシーはまだ実用化を目指す初期の段階に過ぎませんが、モビリティの未来を一変する大きな可能性を秘めています」とAbdul Latif Jameel社長代理兼副会長のハッサン・ジャミールは語ります。「同時に二酸化炭素排出量を削減できる点も大きな魅力です」
航空産業の脱炭素化へのミッションは困難で問題が多いことは確かですが、決して不可能ではありません。
規制の強化に伴い、燃料供給会社、製造会社、空港、航空会社、航空貨物輸送会社をはじめとする航空産業のステークホルダーが一致団結して脱炭素化を目指しています。技術も着実な進歩を遂げており、脱炭素化のミッションを成功に導く効率の高い航空機が製造されています。こうした背景を見る限り、航空産業は差し迫った重要性を持つカーボンフリーの未来に向けて、大きく飛翔していくでしょう。
[1] https://www.iata.org/contentassets/8d19e716636a47c184e7221c77563c93/finance-net-zero-roadmap.pdf Page 2
[2] https://atag.org/industry-topics/supporting-economic-social-development
[3] https://ourworldindata.org/co2-emissions-from-aviation
[4] https://www.iata.org/en/iata-repository/pressroom/fact-sheets/fact-sheet—corsia/
[5] https://www.economist.com/finance-and-economics/2022/12/15/the-struggle-to-put-a-carbon-price-on-a-flight
[6] https://www.economist.com/finance-and-economics/2022/12/15/the-struggle-to-put-a-carbon-price-on-a-flight
[7] https://www.mckinsey.com/industries/aerospace-and-defense/our-insights/decarbonizing-aviation-executing-on-net-zero-goals
[8] https://sciencebasedtargets.org/news/the-sbtis-new-interim-1-5-c-aviation-pathway
[9] https://www.mckinsey.com/industries/aerospace-and-defense/our-insights/decarbonizing-aviation-executing-on-net-zero-goals
[10] https://www.mckinsey.com/industries/aerospace-and-defense/our-insights/future-air-mobility-blog/fuel-efficiency-why-airlines-need-to-switch-to-more-ambitious-measures
[11] https://www.kambr.com/articles/what-is-single-european-sky#:~:text=An%20improvement%20in%20safety%20performance,increase%20in%20capacity%20where%20needed.
[12] https://www.faa.gov/nextgen/today
[13] https://aircraft.airbus.com/en/aircraft/a320-the-most-successful-aircraft-family-ever/a320neo-creating-higher-customer-value
[14] https://simpleflying.com/sustainable-777x/
[15] https://climatetrade.com/why-is-it-so-hard-to-decarbonize-aviation/
[16] https://www.shell.com/energy-and-innovation/the-energy-future/decarbonising-aviation.html?utm_source=&utm_medium=Deloitte&utm_content=Deloitte_web_link_001_&utm_campaign=decarbonisingaviation__sep-dec_2021
[17] https://www.google.com/search?q=%27There+is+no+cheap+way+of+decarbonising+air+travel%27&oq=%27There+is+no+cheap+way+of+decarbonising+air+travel%27&gs_lcrp=EgZjaHJvbWUyBggAEEUYOTIHCAEQIRigAdIBCDE2NzdqMGo3qAIAsAIA&sourceid=chrome&ie=UTF-8
[18] https://www.shell.com/business-customers/aviation/the-future-of-energy/sustainable-aviation-fuel.html#iframe=L2wvODc3OTYyLzIwMjMtMDUtMjIvNHdiNjh2
[19] https://www.bain.com/insights/will-plans-to-decarbonize-the-aviation-industry-fly/
[20] https://www.theguardian.com/business/2022/nov/30/airbus-boss-warn-delay-decarbonising-airline-industry-hydrogen-sustainable-aviation-fuel
[21] https://www.theguardian.com/business/2023/jul/17/green-energy-tycoon-to-launch-uk-first-electric-airline
[22] https://www.rolls-royce.com/media/press-releases/2021/19-11-2021-spirit-of-innovation-stakes-claim-to-be-the-worlds-fastest-all-electric-vehicle.aspx