ブランドのリズムに耳を傾ける…
ソニックブランディングはけっして新しいものではありません。あなた自身にもあるはずです。生活のサウンドトラック。十代、そして大学時代の頃の音楽。嬉しかったこと、悲しかったこと、何十年も前の感覚が感傷的に蘇ります。
聴覚と視覚的感覚を組み合わせることは、学習を強化する強力な手法であり、潜在意識の奥深く、形や色などといった視覚的認識を超えた世界で、容易に呼び出せる記憶を形造ります。ですから、メジャーなブランドはそれを利用します。そして、とても良い効果を生んでいます。最新の「Perspectives(展望)」の記事で、Abdul Latif Jameelの初めてのユニークなブランド・サウンドベッドの制作プロセス、そして、それが当社の伝統と将来にどのように響くかをご紹介します。
五感の中で、なぜ視覚だけに頼るのでしょうか。取り組み方は他にもたくさんあります。多くの人が、何かを聞きながら他の何かするのを好みます。
ラジオやテレビのコマーシャルソング、あるいは仕事に向かう時最後に耳にしたラジオなど、それらが少し煩わしいぐらいに数時間、数日、時には何週間も頭にこびりついていることがあります。信じられないですか。では、私が「インテル 入ってる」、「ダダッダダアー」と4コード、あるいは、「バッダダダッダアー、アイムラヴィンニッ!」と言ったら、あなたはこれを頭から直ぐに消し去ることはできない、でしょう?
マーケティングにおけるソニックブランディングのメリットは、自明のことと言えます。心理的な人と音の関係どころか、生理的な関係まで活用することです。特に、ブランドもしくはブランドの体験をより思い出深く忘れられないものにする音楽がそれです。
私たちは、毎日何千もの視覚的および文字トベースのブランディングメッセージを浴びています。この雪崩の中で目立つには、何かもっと深く掘り下げる必要があります。人々が求める感情的繋がりを得るために。
最近のハーバード・ビジネス・レビューの記事には、 「音声の戦略的利用は、製品またはサービスの明確な識別、リコールの強化、優先順位の設定、信頼の構築、そして販売の増加においてさえも重要な役割を果たすことが可能です。」と書かれています。ヒット曲のように、ソニックブランディングはマーケティング担当者が望む方法で消費者に影響を与えることができます。
大きなコンシューマーブランドが大きな資金を費やすのはよくあることですが、あまり知られていない、例えばB2Bブランドが音楽でブランド価値を表現するというのは少し珍しいことです。特に、中東から成長したグローバルブランドであれば。
Abdul Latif Jameelは、2020年で75周年を迎えます。世界的変化の時代、戦後の楽観主義と機会の中で生まれ、4分の3世紀後の新しい10年間の始まりに迎えるこの祝賀は、再び渦巻く変化の中にあります。今日、世界的な投資家であり、約30カ国の国々で40を超える国籍を擁して多角的な事業を展開する当社は、ブランド音楽のサウンドベッドと、そのオーディオシグネチャを作る必要がありました。ブランドの大望に一致するだけでなく、その4分の3世紀に渡る伝統を守る、そして、国際的に多様な文化に受け入れられ、今の地平線を超えて輝く未来を見つめるような音楽です。
それは当社のブランドのストーリーを伝えることであり、リスナーの心に呼び起こす感情を考えることから生まれます。テンポは速めか遅めか、楽器は現代的かクラシックかなど。聴覚の神経経路が視覚に比べて複雑ではないことから、人々は聴覚に桁外れに速く反応する傾向があります。この効果は、ホルモン分泌による起こる行動を決めたり変えたりすることさえあるという報告があります。科学を考慮することには意味があります。
私たちはそれを実行しました!これは「オリジナルテーマ」マスタートラックです。
この音楽のテンポとフィーリングは、Abdul Latif Jameelに、疑う余地なくモダンで現代的で高揚感のある、世界中に分かりやすいスタイルのユニークなサウンドトラックををもたらします。それだけでなく、アラビアンの楽器をとてもモダンに使い、本来の伝統のルーツを醸し出しています。トーンとテンポのさまざまな編曲と変奏によって、ビデオであったり、臨機応変な対応が求められるイベントなどで一連の視覚イメージを伴奏します。
サウンドの条件は….. 「壮大!」 これが意味するのは、スーパーワイドスクリーンに映ったシネマ – 広大なオープンスペース、機会の場としての世界、一口に言えば、グローバルでポジティブなインパクトを与えるべく努力を重ねる組織です。1960年代の映画「荒野の七人」(Elmer Bernstein)のテーマが、ひらけた空の下に広がるメキシコ砂漠の広大な大地を思い起こさせるのと良く似ています。そこがどこなのか視覚的に知る前に、それが大きいことが判るのです!
私たちは、この楽曲の作曲者、Jonny Bull(下の写真)と、彼のコーポレート・ブランド・ミュージックへのアプローチについて一般的な話をしました。そしてAbdul Latif Jameelの特異なケースについて、この独自のクリエイティブなプロセスについてもっと知るために話を聞きました。
「ブランド音楽を書く時の私のアプローチは、映画の登場人物に対して書くのととても似ています。そのブランドの特性を捉え、個性を表現するテーマ、その音楽のフィーリングとトーンを見つけるのです。もちろん、すべてのブランドはユニークであるため、音楽もそれぞれ独自のものになるべきです。
Abdul Latif Jameelは、より長い音楽に展開・進化するオーディオシグネチャを持ちたいという希望がありした。一つの単純なフレーズを長い楽曲に組み込み、より深いレベルでブランドアイデンティティを強化するというものです。
私は、楽曲が映像と重なった時、それ全体がパーツを集め足し合わせたものよりも大きいと感じさせるような音楽を目指しています。素晴らしい音楽を素晴らしい視界に合わせると何か魔法が起きます!ときには、アイデアをあれこれ考えている間にブランドのビデオをみるのが助けになります。何かがひらめき、これだと感じるまでそうしています。最も重要な最初のステップは、ブランドのオーディオシグネチャになる単純なテーマを見つけることです。これは、異なるバリエーションの基礎を形成するために十分な内容を持つものです。
Abdul Latif Jameelの音楽を作る依頼を受け大変光栄です。ましてやその75年に及ぶ歴史を思うと尚更です!中東をルーツとするグローバルなブランドであり、エキサイティングな音のパレットにドアを開け、そこからどのように現代的な作品ができるか臨むことになりました。
開始から、楽曲は、高揚感があり、映画のワイドスクリーンの音響で、囁きの静かさから壮大で映画の迫力までのダイナミックレンジを持つべきであるということがはっきりとしていました。
オーケストラのストリングと木管楽器をメインとし、中東の楽器の風味も微妙に加えるために、ウード(Oud)、ナイ・フルート(Nye flute)、サズ(Saz)も入れました。ドライビング打楽器は、ドゥンベック(doumbek)、ダール(dohl)、ダラブッカ(darbuka)、太鼓(taiko)で構成し、ビートはモダンな制作テクニックを使い現代的な方法で組み合わせました。
Abdul Latif Jameelのオーディオ・シグネチャー(ウードを使用)は、さまざまなバージョンで効果的でした。オリジナルのピースには、柔らかいセクションと、シンコペーションを入れたドライビングセクションのタイプの違う2つのパートがあります。これらは、常に同じファミリーに所属していると感じる新しいバリエーションを作り出すために多くの素材を提供しました。」
このメインのオリジナルアレンジメントから、Jonnyと協力して、ある部分は静かに、ある部分は打楽器的で急いだ感じにと、一連のムードトラックを作りました。これらは、Abdul Latif Jameel YouTube チャネル ここのプレイリストから試聴できます。
Abdul Latif Jameel楽曲は現在できるだけ多くのブランドタッチポイントに展開されています。実際、このプロジェクトは非常によく受け入れられ、別のブランド – Community Jameelにも拡張されています。
2003年の設立以来、今日Community Jameelの名が世界中で知られているのは、1940年代半ばに設立されたJameelファミリーの伝統である慈善事業の代表としてです。そして現在、より良い未来への革新のために世界中で6つの分野:生計、芸術、教育、健康、気候、エビデンスで活動しています。これには、MIT、Imperial College, London、V&M博物館等との強力な提携が含まれています。
今日の慈善活動を反映するために必要なブランド音楽は、次のようになります。
- イノベーション:新鮮な思考 新しい作業方法 最新の発見 イノベーションは、私たち皆を明るい明日へ導きます。
- 企業家:操業開始の会社と社会的企業を育む生態系の育成から、創造的な産業のためのプラットフォームの構築まで
- 創造性:エキサイティングで予期せぬものに繋がる、インスピレーションの貴重な閃き オープンで繋がりあっているコミュニティを構築するアートの役割
- 青少年:青少年は、新しいアイデアに向かうエネルギー、活気、オープン性を意味します。青少年は未来です。
サウンドトラックのよりモダンな技術的感覚は、世界最大の課題に取り組むこの革新的なアプローチを反映することを目的としています。以下に耳を傾けてください:
最初に言及したように、ソニックブランディングは何も新しいものではありません。それはしばらくの間過小評価されていただけで、私たちの周りに存在しています。スカイプのリングトーンから、アップルまたはウインドウズの起動チャイム、そしてスターウォーズのダース・ベイダーのテーマまで。ソニックブランディングには、パワーと潜在能力が備わっています。しかし、多くの小規模企業や、B2C提案のコアを持たない組織は、ソニックブランディングに向けるに値する注目を 未だ行っていません。
私たちは、このブランディングツールがブランドと消費者をコネクトするための主要手法になることを確信しています。これが進歩することによって真の革新が見られることでしょう。