自動運転車は実に大きな可能性を秘めています。しかし、その実用化には物理的・デジタル両面のインフラ、適切な法規制や政策、官民制度の整備などが不可欠です。私たちは、こうした課題を乗り越えられるのでしょうか?

今年初め、英国政府は約3,700kmの高速道路におけるFord(フォード)のハンズフリー運転支援システム「ブルークルーズ」の使用を正式に許可し、ヨーロッパで初めてハンズフリー運転システムを認可した国となりました[1]。ドライバーは道路に注意を払うことを前提に、ハンドルやペダルから手足を離すことが法的に許されるようになったのです。

他の国でも、自動運転車/自律走行車の利用が拡大しています。カナダや米国では、20万人に上るドライバーがすでにブルークルーズを利用しています[2]。特に米国では、サンフランシスコやフェニックスなどの都市の路上で無人タクシーを見かけることも多く、自動運転の波がますます顕著になっています。

リンシェーピングの自律走行ミニバス。写真提供:© Linköping Science Park

無人タクシー以外の自動運転車も徐々に実用化されつつありますが、今はまだ運転席有人(セーフティドライバーあり)の状態がほとんどです。スウェーデンのリンシェーピングでは、自律走行バスが運行されています[3]。また、米国で最近実施された試験では、自律走行トラックを使用すると、トラック運転手がマニュアルで操作する従来のトラックに比べて稼働率が2倍以上になることが判明しました[4]。トラック運転手には、休憩が義務付けられているからです。

自動運転は、さまざまな産業に多大な影響を与えると予想されています。例えば鉱業分野では、Abdul Latif Jameel(アブドゥル・ラティフ・ジャミール)の長年の事業パートナーであるトヨタ自動車が、安全性と生産性の向上を目指し、住友商事のコマツと共に自動走行ライトビークルの開発プロジェクトを立ち上げました[5]

しかし、自動運転化とは、一体何を意味するのでしょう?

ブルークルーズの例が示すように、従来の運転から完全な自動運転への過程には、いくつかの段階があります。自動運転レベルは、ドライバーがすべての運転操作を行うレベル0から、完全自動運転のレベル5までの6段階[6]に区分されています。

レベル3では、高速道路などの一定の条件下でシステムがすべての運転操作を行い、システムの介入要求に応じてドライバーが適切に対応します。レベル4では、特定の条件下でシステムがすべての運転操作を行います。

メーカー各社は急速にレベルを上げています。Fordのブルークルーズはレベル2ですが、米国の一部の地域で導入されているロボタクシーはレベル4です。レベル5の完全自動運転が実現するのはまだ少し先のことになりそうですが、その手前の段階では急速な進歩が見られます。欧州連合(EU)では2024年以降、すべての新車に緊急自動ブレーキと車線維持支援システムを搭載することが義務付けられます。そのため、レベル1の自動運転機能を搭載していない新車の購入は事実上不可能になります。

McKinsey(マッキンゼー)によれば、ハイレベルの自動運転車の市場には大きな伸びしろがあります。同社が今年に行った分析[7]では、2030年までにレベル3以上の自動運転技術を搭載している新車乗用車の割合が12%に達し、2035年には37%まで伸びるという基本シナリオが想定されています。しかし、研究者らは、自動運転技術の可用性や普及率などの不確実な要因があることから、依然として先行きが不透明であることを強調しています。

McKinseyが描く「(自動運転車が)急速に普及する」シナリオでは、2035年に販売される乗用車の半分以上(57%)に先進的な自動運転技術が搭載される想定がなされているのに対し、「普及が遅れる」シナリオでは、わずか17%に抑えられています。

物理的なインフラ整備

自動運転車の普及が進めば、道路の設計や建設にも大きな影響が出るでしょう。例えば、ミシガン大学の交通研究所が2021年に発表した『未来の道路』という研究論文[8]では、現在の完全自動運転への移行を20世紀初頭の馬車から自動車への移行になぞらえ、道路の性質そのものが大きく変わると指摘しています。

自動運転車への移行は、これからの道路インフラに劇的な変化をもたらすでしょう。『未来の道路』でも、自動運転車の動きが人間の運転より正確で一貫性があることから、砂利やアスファルトのような柔らかい素材を使用した道路だと車輪の跡がつきやすいことを指摘し、自動運転車への対応として、雨水が排水されるような透水性の路面の中に、耐摩耗性に優れた鉄筋コンクリートのレールを整備する必要が出てくるだろうと予測しています。

自動運転車の影響を受けるのは道路だけはありません。信号機、道路標識や標示などの交通誘導システムも同様です。

McKinseyが2019年に発表したレポート[9]では、こうした道路標識や標示に代わり、デジタル交通管理システムが速度制限や転回禁止などの重要な情報を車両に直接通信するのが主流になる未来が描かれています。

こうしたビジョンは胸を躍らせるものの、それが実現するのはまだ先のことになるというのが大半の見解です。

世界64ヶ国が加盟する政府間組織の国際交通フォーラム(ITF)は、国際ワーキンググループの議論に基づき、2023年に自動運転車に必要なインフラ[10]について検討した結果をまとめた調査レポートを作成しました。

このレポートは、完全自動運転車両が早急に実現するとの楽観的観測は薄れ、レベル5の自動運転車の登場までには「数十年かかる」との見解が広がっていることに触れ、「現在のところ、自動車産業や開発業者から自動運転に特化したインフラに対する声は上がっていない」とした上で、「既存の道路ネットワークに対応できる車両を開発する意図が見受けられる」と述べています。

だからといって、自動運転の普及に向けて物理的なインフラを整備する手立てがないわけではありません。ITFはレポートの中で、路面や道路標識・標示などのメンテナンスを工夫すれば、より安全に自動運転車を利用できるようになると述べ、自律走行シャトルバスがロータリーに隣接するバス停で迷走した件に関する地方裁判について言及しています。このケースでは、自律走行システムが2つの道路標識を総合的に解釈できず、道路標識が改善されるまで、その停留所に停車できなかったのです。

同レポートは、自動運転の普及に伴い、道路標識が交通安全を大きく左右する可能性があるため、今後の運用保守計画でもっと考慮されるべきだと結論づけています。しかし、自動運転車のニーズを正確に把握できていない現状において、各国の模範となるベストプラクティスは存在しません。レポートの中でも、今後の自動運転車の普及に伴い、メンテナンスの優先度が上がっていくだろうとの見解が示されています。

デジタルインフラ

現時点では、自動運転車が従来の物理的な道路標識や標示に対応できることが非常に重要なのは明白です。しかし、今後は自動運転車に完全なデジタル通信機能が搭載される可能性も大いにあります。例えば、インターネットに接続された車両であれば、物理的な標識を「解読する」代わりに、路側機や他の車両、総合交通管理システムなどから情報を受信して安全かつ効率的に移動する可能性も考えられます。同様に、他の道路利用者と道路交通情報や天気に関する情報をやりとりする可能性もあるでしょう。

完全なデジタル交通管理システムが実現するのはまだ先の話かもしれませんが、自動運転車におけるコネクティビティ機能の重要性は今後ますます高まることが予想されます。つまり、自動運転の時代には、物理的なインフラだけでなく、デジタルインフラ(デジタル通信に必要な各種システムや構造、デバイスなど)の整備が不可欠になるということです。ITFのレポートによると、デジタルインフラには、有線・無線通信ネットワーク、データ収集・保存システム、測位/ナビゲーション/計時機能をサポートする情報サービスへのアクセスなどが含まれます。

デジタルインフラの中は、すでにかなり開発が進んでいるものもあります。例えば、協調型高度道路交通システム(Cooperative Intelligent Transport Systems/C-ITS)は、渋滞、道路工事、事故などについて早期に車両に警告することができます。

C-ITS(協調型高度道路交通システム):車両対車両(V2V)、車両対歩行者(V2P)、車両対インフラ(V2I)の双方向通信によるリアルタイムのデータ共有を通じて交通事故の防止、道路の管理、車両の運行をサポートする先進的な交通システム。画像提供:ソウル市交通情報センター(TOPIS)プロジェクト(https://topis.seoul.go.kr/openEngCits.do)

このシステムは、すでにさまざまな場所で導入されています。例えば、ソウル市政府は同市の交通情報センター(Transport Operation and Information Service/TOPIS)[11]プロジェクトの一環として、5G対応C-ITSの開発を進めており、市内の主要道路(121km)にC-ITSインフラを設置して、車両、歩行者、インフラ間のリアルタイム通信をサポートしています。

この技術は上岩洞(サンアムドン)地区の専用エリアで試験的に導入されており、同地区のバスやタクシーにはADAS(先進運転支援システム)が搭載されています。このシステムにより、車両は走行しながら、路面のくぼみなどの道路状況を交通管理センターや他の車両と共有できます。ソウル政府は、必要に応じてルートや車線変更を車両に指示することで、事故防止につながると述べています。

また、オーストラリアでもC-ITS路側機を使用して、クイーンズランド州にある全長1,500kmのブルース・ハイウェイの利用者に信号機からの情報を送信し、赤信号や歩行者の存在を警告するプロジェクトが実施されています[12]。クイーンズランド州政府交通・主要道路省大臣のマーク・ベイリー氏は、このシステムの導入により「衝突事故を20%削減できると期待している」と述べています。

同様に、ポルトガルのパイロット試験では、全長1,620mのガルドゥーニャトンネル付近で発生した危険やハザード、遅延などを車両に警告するのにC-ITS技術が役立つことが実証されました。このパイロット試験に参加した技術会社、Allbesmart(オールビースマート)のホルヘ・リベイロCEOは「トンネルに接近している車両にタイムリーに正確な警告を発し、必要によってはドライバーが次の交差点で道路を降りることも可能であることが実証された」と述べています[13]

現在のC-ITSシステムのほとんどは、車両と道路インフラ間の通信が主体ですが、車両同士の通信や、車両と道路利用者間の通信を実現する高度システムの可能性を探る取り組みもあります。2020年にオーストラリアでメルボルン大学の協力を得て実施された研究[14]では、車両、インフラ、道路利用者間の通信を含む8通りのC-ITSアプローチを活用することで、衝突事故を最大78%削減できる可能性があるとの結論が示されています。

このようなアプローチが普及すれば、それに対応するための高度なコネクティビティ機能も必要になるでしょう。

ITFは、無人搬送車や自動運転車の普及に伴い、主要道路沿いのモバイル通信ネットワークの要件が高度化し、将来的にはより高速で低遅延な次世代通信の5Gが導入されることになるだろうと予測しています[15]。レポートでは、初期の自動運転アプリケーションの多くは既存の4Gネットワークに対応しているものの、技術やサービスが発展するにつれて5Gの通信技術や機能に対するニーズが急速に高まるとの見解が示されています。

自動運転車に不可欠なデジタルインフラの別の側面としては、HDマップ(高精度3次元地図データ)などのデータが挙げられます。HDマップには、車両周辺の環境をセンチメートル単位で正確に再現するために必要な複数レイヤーの履歴/リアルタイム情報が含まれており、[コネクテッドカーや自動運転車の]安全な運行に不可欠と考えられています[16]。自動運転車はこうしたマップに基づいて運転操作を行うため、更新頻度の高い精密な情報の取得が重要になります。さまざまなデータの中でも、とりわけマップは次世代の「重要インフラ」です。多くの開発業者は、自動運転車の安全な運行にマップが欠かせないと考えています[17]。しかし、その複雑で大規模なデータを解析するには、膨大な演算処理能力が必要です。

今後は、自動運転車の運行に必要なデータやコネクティビティ機能を提供できるインフラの開発が色々な意味で重要になってくるでしょう。自動運転の普及や高度化が進むにつれ、その重要性はますます高まっていくことが予想されます。自動運転車におけるコネクティビティ機能の重要性は、従来の自動車のガソリンに匹敵すると考える専門家もいます。

政策・制度の整備

自動運転車の安全な導入について具体的な考えを巡らせると、制度や政策レベルでも大きな変革が必要なことがすぐに分かります。例えば、自動運転車と従来の自動車との根本的な違いを考えれば、大規模な検証が必要なことは明白でしょう。これには、自動車メーカーが製品の開発中に行う実験的試験や、当局が自動運転車の使用を正式に認可するための検証試験の両方が含まれます。

従来の自動車の安全試験では、ハンドルやブレーキなどの機構が安全規格に適合することを確認することに重点が置かれていました。しかし、自動運転車の場合は重点が異なります。人間の知覚・認知機能を機械知能に置き換えるには、ITFが言うところの「複雑なソフトウェア集約型システム」の構築が必要です。そして、その評価も色々な意味で複雑です。

米国国立標準技術研究所(NIST)のアソシエイトディレクターを務めるエドワード・グリフォー氏は、

自動運転車の認識性能や安全性の評価方法について「まだ分からないことが多い」と強く述べています[18]

そのため、NISTは自動運転車産業やその他の関係者(ステークホルダー)と共に、安全性評価指標や安全性の評価方法についてコンセンサスを得るための作業を進めてきました。そうした対話から生まれたのが、動作範囲仕様(Operating Envelope Specification/OES)の概念です。OESには、自動運転車が走行可能な天候状況(降雨や積雪など)をはじめ、車線変更や交差点での対応などの自動運転機能も含まれます。研究者、開発者、規制当局が、この枠組みをもとに検証シナリオを作成できるようにすることが目的です。OESは、すべての自動運転車が満たすべき機能とその評価指標を定めたものだと考えてください」とグリフォー氏は語ります。

NISTはまた、開発業者と協力して自動運転車の安全性を調査研究するための「共同シミュレーションプラットフォーム」を構築し、各種センサー、ブレーキ、エンジンなどの部品に関する主なシミュレーション事例をまとめています。このプラットフォームは、衝突回避、制限速度の遵守、追い越しといった問題に対処するために、安全性および車両モデルのさまざまな側面を同時に評価するのに役立ちます。しかし、こうした取り組みがなされる一方で、グリフォー氏は自動運転車の安全性試験にいまだ未解決の部分があることを認めています。例えば、人間のドライバーの場合は、運転免許試験を実施して合格者に免許を交付できますが、自動運転車の場合の最大の課題は、システムの評価方法がまだ確立されていないことです。

自動運転関連のコミュニティとの対話を通じて、システムと車両間の通信、物体の認識機能や反応、AIに関連するリスクなどの問題についてさらに研究を重ねる必要性が浮き彫りになりました。さらにもうひとつの安全上の問題は、サイバーセキュリティに関するものです。自動運転車によるコネクティビティ技術の活用が進むにつれ、サイバーセキュリティのリスクも高まることは広く認識されています。カナダ規格協会(CSA)は初期の調査で「悪意のある人物が物理的・遠隔的な攻撃に悪用できる攻撃対象領域が広範囲に及ぶことが明らかになった」と述べ、自動運転車業界がレベル5の自動化を進めるにつれて、自動運転車のリスクはさらに高まるだろうと警鐘を鳴らしています。[19]

自動運転モビリティ分野におけるパートナー

写真提供 © Kirsten Korosec

Abdul Latif Jameelの長年のパートナーである大手自動車メーカーのトヨタ自動車は、2つのアプローチから自動運転技術の開発に取り組んでいます。

ひとつはガーディアン(高度安全運転支援システム)と呼ばれるもので、「ドライバーによる手動運転とAIシステムの平均スキルを融合した車両安全制御技術[1]」であり、トヨタではこれを「調和的な車両制御(Blended Envelope Control)」と位置づけています。

もうひとつのアプローチは「ショーファー」と呼ばれるヒューマンエラー(人間のミスや過失責任)を回避するための自動運転技術で、SAEレベル4〜5に相当します。

こうした自動運転技術は、当面は「年齢や病気などの理由で運転が不可能か、あきらめた人」を対象としています[1]

トヨタは、初期のベンチャーキャピタルファンド「Toyota Ventures(トヨタ・ベンチャーズ)」を通じて、自動運転技術の未来の形成に役立つ相互接続システムなどの最先端の研究に出資しています。

例えばApex.AIは、ソフトウェア定義の自動車やモビリティへの移行を迅速化する目的で、安全認証済みのソフトウェアを開発しています。

ジャミール・ファミリーが初期から主要株主となっている電気自動車産業のディスラプター(破壊的企業)、RIVIAN(リビアン)も、未来の最先端技術の最前線を担っています。

同社は、従来の電池と比較して最大3倍の電池持続時間を誇るAI搭載型充電システムの開発に取り組んでいます。

RIVIANのソフトウェア搭載型自動車には、ドライバーモニタリングシステム、テレマティクス、サーマルマネジメント、ハンズフリー運転支援システムなどの重要なコネクティビティ機能を制御する複数のシステムが事前にインストールされており、携帯電話のアプリと同じように更新できます。

米国のRIVIAN充電ステーションで充電を行うRIVIAN R1S 写真提供 © RIVIAN

未来への開拓

現在のように比較的初期の段階でも、自動運転車の安全な導入は、単に新しい規則や試験を導入すれば済む問題ではないことは明らかです。導入を支えるアプローチや規範、規制、政策、法律、制度などの構造的な変革が求められます。

この点で世界を牽引している国のひとつがフィンランドです。KPMGの2020年自動運転車対応指数(Autonomous Vehicle Readiness Index)[20]は、さまざまな基準を用いて各国の自動運転車に対する準備態勢を評価するものです。フィンランドは、自動運転車の使用や試験を支援する規制整備の面で(オーストラリア、オランダ、シンガポールと並んで)最高得点を獲得しました。KPMGのレポートには、フィンランドの規制当局は対応が機敏で、多様な輸送形態の自動走行試験を臨機応変に実施するための法律が整備されており、試験の許可を容易に取得できるだけでなく、規制当局とのやりとりもスムーズであるとの講評が述べられています。

ITFのレポートでも、フィンランドはこの分野の国際リーダーとして位置づけられています。試験許可の申請窓口を一本化し、双方向の話し合いを通じて、試験場、安全/セキュリティ、技術情報などの提出を求めながら試験実施計画の評価を行っている事例が紹介されています。

フィンランドの自動運転車に対する周到な準備は、計画的になされたものです。KPMGの専門家は、同国が道路を試験的に開放し、道路交通法を制定して2020年6月に施行するなどのさまざまな努力を重ね、関連するEU法の改正を求めるロビー活動にも力を入れてきたことを指摘しています。フィンランドでKPMGグローバル戦略グループマネージャーを務めるヘンク=ヤン・クルイト氏は「法的基盤の整備はかなり前から行われてきました」と語ります。

協調体制がカギ

各国政府が協調体制と戦略的方向性をきちんと確立しなければ、各方面のステークホルダーの支援を受けつつ、自動運転車の導入に向けた政策上の課題について交渉できる可能性は低いでしょう。

英国のコネクテッド自動運転車センター(CCAV)のように、専門機関を通じてそれを実現しようとしている国もあります。[21]

この政策部門は、英国の業務部門と運輸部門の共同の取り組みとして発足され、4億5,000万ポンドの官民投資の誘致、試験実施のガイドラインの規定、新たな一次立法の制定、地方自治体や地方当局との連携の確保などの活動を統括してきました[22]。CCAVはまた、英国の法律委員会に対し、自動運転車に関する法的枠組みを見直すよう求めました。2023年に発行された調査レポート[23]には、自動運転車の承認や認可をはじめ、性能モニタリング、マーケティング、刑事・民事責任などの問題に関する勧告も示されています。

国際社会レベルでも、これと同様の協調・協力体制を確立することが極めて重要です。例えば、世界各国の経験を結集して、試験や衝突事故の調査に関する手順を標準化すれば、管轄区域を超えてより迅速に自動運転車を導入できるでしょう。

もうひとつの問題は、コネクティビティ方式に関する国際的なコンセンサスが得られていないことです。これが、迅速な投資の正当化を阻む要因になっています。世界的な標準化に向けた取り組みが進めば、政策立案者は自信を持って投資判断を行い、開発業者も幅広い応用が効くソリューションを考案できるようになるでしょう。ITFも、都市ごとに新たな取り決めを考案する必要がないよう、カスタマイズ可能な「ブループリント」を作成しておけば、各地域での自動運転の実用化をスムーズに図ることができると示唆しています。

「どこで、どのように自動運転を導入するかについては不確実な部分も多く見受けられる。産業界と政策立案者の間での国際協力体制を通じてそうした部分に向き合い、標準化されたアプローチを確立してイノベーションの促進を図り、国民の安全を守ることが最も望ましい」とITFはレポートの中で述べています[24]

そうした国際協力の心強い例として、EU加盟国と道路事業者が力を合わせ、調和のとれたC-ITSシステムの実装に取り組むC-Roadsプロジェクト[25]が挙げられます。また、国連の自動車基準調和世界フォーラムも、自動運転の最高速度を時速130kmに引き上げるなど、世界的な規制の枠組みを策定しています[26]。こうしたイニシアティブの構築に向けて、これからも野心的で勇敢な姿勢を示すことができれば、世界各国の政府と産業界は、自動運転の大きな可能性を十分に発揮できるようになるでしょう。

Fady Jameel
ファディ・ジャミール
Abdul Latif Jameel
社長代理兼副会長

「自動運転技術を活用することで、より高速・安全で利便性の高いモビリティソリューションが可能になります。

都市の『スマート化』が進み、技術が高度化して自動運転が普及すれば、渋滞が緩和され、乗客やさまざまな道路利用者の安全性が向上するだけでなく、運転がより快適で楽しいものになるでしょう。

また、環境に優しく住みやすい都市社会や効率的な経済が生まれ、ネットゼロ目標を達成するのに大きく役立つでしょう」とAbdul Latif Jameelの社長代理兼副会長を務めるファディ・ジャミールは語ります。

 

[1] https://news.sky.com/story/self-driving-ford-car-granted-approval-for-hands-free-use-on-british-motorways-in-european-first-12856889

[2] https://techmonitor.ai/technology/ai-and-automation/autonomous-vehicles-uk-motorways-department-for-transport-ford-bluecruise

[3] https://linkopingsciencepark.se/linkoping-gets-its-third-autonomous-vehicle/

[4] https://www.bcg.com/publications/2022/mapping-the-future-of-autonomous-trucks

[5] https://global.toyota/en/newsroom/corporate/39205159.html

[6] https://www.sae.org/blog/sae-j3016-update

[7] https://www.mckinsey.com/industries/automotive-and-assembly/our-insights/autonomous-drivings-future-convenient-and-connected

[8] https://www.cts.umn.edu/publications/report/future-streets-leveraging-autonomous-shared-vehicles-for-greater-community-health-equity-livability-and-prosperity

[9] https://www.mckinsey.com/industries/travel-logistics-and-infrastructure/our-insights/a-new-look-at-autonomous-vehicle-infrastructure

[10] https://www.itf-oecd.org/preparing-infrastructure-automated-vehicles

[11] https://topis.seoul.go.kr/openEngCits.do

[12] https://cms.its-australia.com.au/assets/images/PDFs/Connectivity-in-C-ITS-White-Paper_FINAL_web.pdf

[13] https://www.traffictechnologytoday.com/news/incident-detection/portuguese-smart-tunnel-trial-paves-the-way-for-c-its-system-rollout.html

[14] https://www.traffictechnologytoday.com/news/connected-vehicles-infrastructure/white-paper-australian-research-reveals-connected-talking-cars-could-save-lives.html

[15] https://www.itf-oecd.org/preparing-infrastructure-automated-vehicles

[16] https://www.csagroup.org/wp-content/uploads/CSA-Group-Research-Physical-and-Digital-Infrastructure-for-Connected-and-Automated-Vehicles-_CAV_.pdf

[17] https://www.itf-oecd.org/preparing-infrastructure-automated-vehicles

[18] https://www.nist.gov/blogs/taking-measure/cruising-toward-self-driving-cars-standards-and-testing-will-help-keep

[19] https://www.csagroup.org/wp-content/uploads/CSA-Group-Research-Physical-and-Digital-Infrastructure-for-Connected-and-Automated-Vehicles-_CAV_.pdf

[20] https://kpmg.com/xx/en/home/insights/2020/06/autonomous-vehicles-readiness-index.html

[21] https://www.gov.uk/government/organisations/centre-for-connected-and-autonomous-vehicles

[22] https://www.itf-oecd.org/preparing-infrastructure-automated-vehicles

[23] https://www.lawcom.gov.uk/project/automated-vehicles/

[24] https://www.itf-oecd.org/preparing-infrastructure-automated-vehicles

[25] https://www.c-roads.eu/platform.html

[26] https://unece.org/media/transport/Road-Safety/press/368227