再び脚光を浴びる水素
水素はエネルギー移行を加速する重要な要素として、すでに何十年も前から注目されてきました。水素に関しては、以前にも再生可能エネルギーやグリーンモビリティ・ソリューションの推進力としての可能性、そして水素エネルギーを活用した公共交通機関に対する関心の高まりについて取り上げました。しかし、こうしたポテンシャルにもかかわらず、話題の割には あまり普及が進まないという雰囲気がありました。しかし、数年ほどスポットライトから遠ざかっていた水素が、ここに来て再び話題に上っています。世界がクリーンエネルギーへの転換を図るにあたり、水素は従来の「ニッチな分野」から「有力候補」へと台頭できるのでしょうか? 輸送分野の最新動向を見る限り、宇宙にある最も豊富なこの元素には、まだ「未来の燃料」としての可能性が残されていそうです。
水素の復活
水素燃料電池電気自動車(FCEV)市場は今、大きく成長しています。国際エネルギー機関(IEA)の電気自動車(EV)に関する年次報告書「Global EV Outlook 2023」[1]によると、2022年におけるFCEVの総数は、前年比40%増の7万2,000台超を記録しました。
最も多いのは韓国で、世界の水素乗用車の半数以上を保有しており、また2022年に新たに導入が予定されている燃料電池自動車1万5,000台の3分の2以上を占めています。米国はFCEVの世界第2位の市場であり、自動車を中心に1万5,000台以上、燃料電池バスも200台超を導入しています。米国のFCEV保有台数が2022年に20%以上増加したのに対し、中国はそれをはるかに上回る60%増の伸び率を示し、FCEV保有台数で世界第3位に躍り出ました。
中国は世界の水素トラックの95%以上、燃料電池バスの85%近くを保有しています。数年間バスとトラックに焦点を絞った後、2022年にFCEVフリートとして水素自動車200台を導入しました。中国政府は、2025年までに水素自動車100万台の普及を目指しています[2]。それに続く日本も、2030年までに80万台の導入を目指しています[3]。一方、水素自動車の世界市場規模は、2032年までに628億8,000万米ドルに達すると予測されています[4]。
こうした動向は、さまざまな国における水素自動車への需要の高まりと、普及への本格的な後押しを示しています。政府と産業界が水素インフラと技術革新への投資を継続する中で、水素自動車市場にはさらなる成長が見込まれており、持続可能なゼロ・エミッション輸送の未来に有望なチャンスを提供しています。
水素自動車の最新動向
水素は、ほぼ全種類の自動車の燃料として活用でき、ここ数年は水素燃料を搭載する新型車の発表や導入・展開の発表が相次いでいます。
一般消費者向け自動車
Juniper Research(ジュニパーリサーチ)の報告書によると、2027年までに世界に導入される水素自動車のうち、一般消費者向けの自動車がその60%以上を占めています[5]。
1955年以来Abdul Latif Jameel(アブドゥル・ラティフ・ジャミール)の提携パートナーであるトヨタ自動車は、水素自動車技術のパイオニアです。つい最近、10年ぶりの新型水素自動車となる、2023年新型クラウンセダンを発表しました[6]。これは、トヨタ自動車の主力燃料電池電気自動車(FCEV)にあたるトヨタ MIRAIを補完するものです。
Hyundai(ヒョンデ)の高性能SUV「NEXO(ネッソ)」やHonda(本田技研工業株式会社)の次世代SUV「CR-V」など、トヨタの競合他社はこぞってSUVに賭けています[7]。同様に、Renault(ルノー)も従来のバッテリー式電気自動車(BEV)と比較してカーボンフットプリントを75%削減できる水素駆動SUVのプロトタイプ「Scenic Vision(セニック・ビジョン)」を開発しています[8]。そしてBMWは、コンセプト実証機「iX5」の検証を実施中です。それに使われている燃料電池はもちろん… そう、トヨタ製です[9]。
商用車
多くの専門家は、航続距離の長さ、高速充填、メンテナンスの容易さの点から、水素自動車の理想的なユースケースは大型車や長距離輸送車であると主張しています。燃料電池や水素エンジンを搭載する水素自動車は、走行距離180マイル(約290km)、積載量24,000ポンド(約10,886kg)を超える輸送にとりわけ理想的です。業界の報告書によると、ゼロ・エミッションで1日あたり600マイル(約965km)以上の貨物輸送を実現できるのは、今のところ水素燃料しかありません[10]。例えば、Hyundai最新の燃料電池大型トラック「XCIENT(エクシエント)」や「トヨタ MIRAI」は、1回の充填で800kmを超える走行が可能です[11]。
Renault Group(ルノーグループ)と水素燃料電池メーカーのPlug Power(プラグ・パワー)の合弁会社HYVIA(ハイヴィア)は、航続距離最大500km[12]の水素バンの初出荷を開始しました。また、HyundaiのXCIENTトラックは昨年以降、ドイツ、スイス、ニュージーランド、韓国で急速に市場シェアを拡大しており、米国やイスラエルへの出荷も近々予定されています。トヨタ自動車やNikola(ニコラ)などの大手企業も、商用水素自動車の分野で米国市場に参入しています[13]。
公共交通機関
水素エネルギーを活用した公共交通機関は、中国を中心にアジア太平洋地域で勢いを増しています。Information Trends(インフォメーショントレンズ)によると、水素燃料電池バスの世界販売台数は、2022年の4,000台未満から大幅な増加傾向にあり、2037年には65万台を超えると予測されています[14]。
他の国々でも水素バスの導入が大幅に進んでいます。2023年5月、韓国は業界大手のSamsung(サムスン)やHyundaiなどと、2026年までに水素通勤バス2,000台を導入する業務協約を締結しました[15]。PwCによると、ドイツは2030年までに900台超の水素バスの導入を目指しています。これは、現在の145台からの大幅な増加となります[16]。
欧州連合(EU)は、2030年までに新しい市バスをFCEV(水素燃料電池または充電式電池)に切り替えることを義務付けました[17]。このEU指令は、2040年までに大型車からの二酸化炭素排出量を45%、新型トラックとバスからの二酸化炭素排出量を90%削減する目標の一環です。
水素エネルギーを活用した公共交通機関には複数のメリットがあります。特に水素燃焼エンジンの初期費用はディーゼルエンジンと比較して約50%高い程度で済むため、より高額なBEVよりも、費用対効果の高いゼロ・エミッション・ソリューションを提供します[18]。比較的低価格の水素エンジンは、ゼロ・エミッション車への移行を目指すフリート・オペレーターにとって魅力的です。
スペインでは、Abdul Latif Jameel Energy(アブドゥル・ラティフ・ジャミール・エナジー)の主要な再生可能エネルギー部門であるFRVが、マドリードのタクシー連盟と提携し、2026年までに現在の内燃タクシー1,000台以上を環境に優しいグリーン水素自動車に移行させる予定です。この取り組みでは、トヨタ・スペインと提携し、航続距離最大600kmと環境負荷ゼロで知られるトヨタ自動車の燃料電池自動車「トヨタ MIRAI」が導入されます。
FRVのイノベーション開発事業を担当するFRV-XもVectalia(ベクタリア)と提携し、スペインのアリカンテに初の大規模なグリーン水素バス交通システムを構築しています。
水素自動車の導入は、なにもバスだけに限った話ではありません。燃料電池タクシーはヨーロッパ全域で人気を集めており、パリではすでに100台以上の燃料電池電気自動車(FCEV)が走行しています。トヨタ自動車の協力により、パリは2024年までに導入台数を1万台まで増加する予定です[19]。また、トヨタ自動車はドイツのUber(ウーバー)とも提携を結び、2年の試験期間に向けて最大200台の水素自動車を供給する予定です[20]。
急速に進む水素技術革新
水素自動車はモータースポーツの分野にも進出しています。Abdul Latif Jameel Motors Saudi Arabia(アブドゥル・ラティフ・ジャミール・モータース・サウジアラビア)がスポンサーを務めるROOKIE Racingは、富士スピードウェイで開催された「スーパー耐久シリーズ2023」に水素エンジンを搭載したトヨタ GRカローラで参戦。水素エンジンとカーボンニュートラルな燃料を搭載した車で戦いに挑みました。
5月28日、ENEOS スーパー耐久シリーズ 2023 第2戦「NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース」にて、トヨタ自動車が開発した液体水素自動車が見事完走を果たしました。液体水素を燃料とする自動車でレースに参戦すること自体、世界初の試みでした。シリーズで最も過酷な24時間レースでのデビューにもかかわらず、トヨタ自動車のレーシングチームは静岡県駿東郡小山町にある富士スピードウェイを358周しました。これは航続距離にして1,634km相当にあたります。
水素自動車の普及の原動力とは?
BEVがよく脚光を浴びる一方、水素自動車は、よりクリーンで持続可能な未来に向けて多くのメリットをもたらします。
急増する環境問題への対応
運送業界は、世界の二酸化炭素排出量の約21%を占めています[21]。従来の内燃機関車とは異なり、水素自動車は水蒸気しか排出しないため、クリーンで環境に優しい代替手段となります。さらに、FCEVは1kgあたり約60マイル(約96km)の航続距離を達成できます。従来の車の航続距離がガソリン1ガロン(約3.8ℓ)あたり約25マイル(約40km)ですから、FCEVは従来の車を上回ることになります[22]。
完全グリーン化の可能性
BEVは理論上、充電ステーションのエネルギーミックスに依存しますが、水素は風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを含むさまざまなエネルギー源から生成することが可能です。また、水素はオフピーク時間帯に生産した余剰電力を利用して生成できるため、より柔軟で、余剰な再生可能エネルギーの貯蔵・活用にも役立ちます。
優れた航続距離と充填時間
水素自動車は、BEVに比べて航続距離が長いのが特徴です。水素タンク1本で数百マイルの走行が可能で、充填時間も、従来のガソリン車やディーゼル車と同様に3〜5分程度です。EV車の航続距離は短く、高速充電インフラも限られているという消費者の「航続距離への不安」は、現在も根強い先入観として残っています。水素自動車は、そうした先入観を払拭し、EV車の普及に立ちはだかる障壁を解消するのに役立ちます。
大規模な展開が容易
水素自動車は、商用車や公共交通機関としての導入が比較的容易で、それほど多額の投資を必要としません。同様に、水素充填ステーションは、従来のガソリンスタンドと同様に迅速に展開でき、同時に多数の車両に対応できます。
戦略的な重要性
天然ガス価格の乱高下により、エネルギー源の多様化の必要性が叫ばれるようになり、特に(ロシアの天然ガスなどの)従来の資源に依存している地域において、水素燃料の可能性に対する関心が再燃しています[23]。また、水素自動車の普及は、レアアース(希土類)への依存を軽減するのに役立ちます。BEVの場合、部品の製造にレアアースが不可欠で、サプライチェーンや倫理的な調達を巡る問題に供給が左右されやすいことが指摘されていました。
着実な技術革新
水素自動車の電力消費量は現在BEVの2~4倍ですが、こうした制限を克服し、水素自動車の総合的な性能を向上させるために膨大な努力がなされています。主な研究開発分野のひとつとしては、水素燃料電池技術の効率性、耐久性、費用対効果を高めるための研究開発が挙げられます。例えば、米国エネルギー省(DOE)は、水素燃料1kgあたり約100マイル(約160km)の航続距離を実現するため、燃料効率の改善に取り組んでいます[24]。
さらに、電気分解による水素製造に不可欠な電解槽の製造能力も着実に増加しており、2021年から2022年にかけて生産量が倍増しています[25]。燃料電池/電解槽サプライヤーへの投資も世界的に増加しており、2021年には約70億米ドルに達しています[26]。こうした投資の急増は、代替燃料としての水素に対する関心と信頼が高まっていることを示しています。
政府の支援の増加
世界各国の政府は、研究開発の促進、二酸化炭素排出量の削減、水素補給インフラの整備の促進を目的とするさまざまな政策や規制、インセンティブ制度を通じて、水素自動車の普及を積極的に支援・奨励しています[27]。
米国では、米国エネルギー省(DOE)が水素貯蔵/供給/燃料補給技術の研究開発に4,700万米ドルを拠出しています。また、同省は最近になり、クリーンな水素製造技術や燃料電池技術の効率性、耐久性、費用対効果を改善する目的で7億5,000万米ドルの資金調達を行うことを発表しました[28]。2022年米国税制改正(インフレ削減法)では、クリーン水素の製造施設に対する10年間の生産税控除(PTC)が導入されると共に、水素自動車に対する税額控除が拡大されました。また、燃料電池車を含むクリーン商用車に対して最高4万米ドルの税控除を設け、低所得者や農村部での水素自動車の利用に対し最高10万米ドルのインセンティブを提供することが可決されました[29]。
中国は、2021〜2025年を対象とする第14次五ヵ年計画において、水素を最重要項目のひとつに挙げています[30]。同計画は、水素エネルギー産業の包括的な発展を目指すための目標を定めており、独自の技術革新、生産能力の強化、再生可能エネルギー源による年間水素生産量に重点を置いています[31]。
日本は戦略的ロードマップの概要を発表し、低コストの燃料電池車の大量生産と水素ステーション網の確立という野心的な目標を掲げました。日本政府は、2030年までに燃料電池車(FCV)を最大80万台、燃料電池バスを1,200台、燃料電池フォークリフトを1万台普及させることを目指しています[32]。韓国も水素自動車の普及において大きく前進しており、韓国政府は、SamsungやHyundaiなどの大手企業と通勤用水素バスを数千台導入する業務協約を結んでいます[33]。
一方ヨーロッパでは、前述のように欧州連合(EU)が2030年までにバッテリー式電動バスや水素バスを導入する目標を掲げています[34]。このコミットメントは、大型車による二酸化炭素排出量の削減と、ゼロ・エミッション技術の普及促進を図るEUの目標に沿ったものです。
同様に、英国も2030年までに10GWの国内低炭素水素製造能力を目指す水素戦略を掲げています[35]。英国はすでにロンドンを中心とする地域で水素バスを導入しています。また、「トヨタ ハイラックス」(ピックアップトラック)の水素燃料電池版をはじめ、水素燃料車の開発を積極的に支援しています[36]。
水素補給インフラの拡大
現在は、水素自動車の需要に見合うだけの水素ステーションが整備されていません。いわゆる「ニワトリと卵」の問題です。しかし、政府と業界関係者が手を組んで水素ステーションの設置に取り組んでおり、国や大陸を越えたネットワークの構築が進んでいます。
例えば、米国カリフォルニア州、ドイツ、日本、韓国、中国などの地域では、水素補給インフラの整備が大幅に進んでいます。2022年には、全世界で1,020基の水素ステーションが稼働しています。稼働台数は中国がトップで、韓国、日本、ドイツ、米国がその後に続いています[37]。
日本では、日本水素ステーションネットワーク合同会社(JHyM)の設立により、燃料電池自動車(FCV)の拡大に向けた水素ステーションの開発が加速しています[38]。欧州連合(EU)は、すべての主要都市と主要路線において、200kmごとに水素ステーションを設置することを確約しています[39]。
水素ステーションの数が増え、水素自動車の燃料補給がより便利で手軽になるほど、クリーンで持続可能な交通手段としての水素自動車の成長や普及が進むでしょう。
協力体制とパートナーシップ
自動車メーカーやエネルギー関連企業をはじめとするステークホルダー間の協力体制やパートナーシップが、水素自動車の進歩を後押ししています。
水素協議会(Hydrogen Council)には「水素経済の発展」という共通のビジョンを掲げるエネルギー/運輸/産業/投資分野の大手企業が集まっています[40]。
HondaとGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)は、自家用車と貨物トラック用の「次世代」水素燃料電池システムを生産する合弁会社を設立しました。Hondaは2023年に生産を開始し、2030年までに年間の販売台数を6万台まで伸ばすことを目指しています[41]。同様に、BMWとトヨタ自動車も水素燃料電池車の製造に向けて提携を結んでいます。両メーカーは2025年以降、共同開発した水素燃料電池車の生産・販売を開始する予定です[42]。この事業提携は、BMWのSUV「X5」をベースにした燃料電池車「iX5ハイドロジェン」の開発を含む過去の事業の成功を受けて実現したものです[43]。
グリーン水素への関心の高まり
現在は天然ガスから水素を製造するのが主流のため、大量の二酸化炭素が排出されています。この問題への対応として、再生可能エネルギー発電への投資を増やし、「グリーン水素」の製造を促進するための政府補助金制度を求める動きが高まっています。国内のエネルギー源を確保し、化石燃料の輸入への依存から脱却しようとしている日本は、再生可能エネルギー発電と水素技術により飛躍的な進歩を遂げました[44]。国際エネルギー機関(IEA)は、水素の製造規模の拡大や、再生可能エネルギー技術の低コスト化により、2030年までに再生可能エネルギーによる水素製造コストが30%削減される可能性があると予測しています[45]。
今後の見通し
水素自動車の未来は明るいと言えるでしょう…と言うのも、現状では伸びるしかないからです。現在、道路を走行している水素自動車は約7万2,000台で、世界全体の自動車台数15億台のごく一部に過ぎません。
一方、バッテリー式電気自動車(BEV)は、今年だけでも1,400万台を売り上げています[46]。
しかし、アナリストは、政府の支援の増加、水素補給インフラの拡大、継続的なイノベーション、環境に優しい燃料への移行を求める圧力、サプライチェーンの多様化と信頼性の強化といったさまざまな要因が重なり、今後10年で水素自動車の普及が進むと予測しています。規模の経済が発揮されれば、水素自動車の利用が飛躍的に増加する舞台が整うでしょう。
今はBEVが主流です。しかし、その裏で、水素は着実に台頭してきています。
[1] https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2023
[2] https://www.euronews.com/next/2022/10/08/at-a-fork-in-the-road-do-hydrogen-cars-offer-a-better-future-than-electric
[3] https://www.euronews.com/next/2022/10/08/at-a-fork-in-the-road-do-hydrogen-cars-offer-a-better-future-than-electric
[4] https://www.polarismarketresearch.com/industry-analysis/hydrogen-fuel-cell-vehicle-market
[5] https://www.juniperresearch.com/whitepapers/why-hydrogen-vehicles-are-ready-for-the-mainstream
[6] https://www.hydrogeninsight.com/transport/toyota-unveils-its-first-new-hydrogen-car-in-a-decade-to-go-on-sale-this-autumn/2-1-1433307
[7] https://www.caranddriver.com/news/a42796089/2024-honda-cr-v-powered-by-hydrogen-details/
[8] https://autovista24.autovistagroup.com/news/hydrogen-vehicles-in-europe/
[9] https://www.autocar.co.uk/car-review/bmw/ix5-hydrogen
[10] https://nacfe.org/research/electric-trucks/hydrogen/
[11] https://www.ft.com/content/64806305-cbc1-43b4-83da-87c98c81cf07
[12] https://autovista24.autovistagroup.com/news/hydrogen-vehicles-in-europe/
[13] https://www.hydrogenfuelnews.com/big-hydrogen-truck-industry/8558375/
[14] https://www.prnewswire.com/news-releases/over-650-thousand-hydrogen-fuel-cell-buses-to-be-sold-by-2037-says-information-trends-301760555.html
[15] https://www.hydrogeninsight.com/transport/south-korea-signs-deal-with-samsung-hyundai-and-others-to-put-2-000-hydrogen-commuter-buses-on-its-roads-by-2026/2-1-1445858
[16] https://www.pwc.de/de/branchen-und-markte/oeffentlicher-sektor/e-bus-radar.html
[17] https://www.hydrogeninsight.com/transport/new-city-buses-in-eu-must-be-battery-or-hydrogen-powered-by-2030-as-bloc-targets-45-emissions-cut-for-heavy-duty-vehicles/2-1-1404389
[18] https://www.hydrogeninsight.com/transport/new-city-buses-in-eu-must-be-battery-or-hydrogen-powered-by-2030-as-bloc-targets-45-emissions-cut-for-heavy-duty-vehicles/2-1-1404389
[19] https://www.euractiv.com/section/energy/news/hydrogen-taxis-could-be-the-next-big-thing/
[20] https://www.hydrogeninsight.com/transport/special-advantage-toyota-providing-up-to-200-hydrogen-cars-to-uber-in-germany-as-part-of-two-year-trial/2-1-1438797
[21] https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
[22] https://www.energy.gov/eere/vehicles/articles/hydrogens-role-transportation
[23] https://www.bbc.co.uk/news/business-60066015
[24] https://www.energy.gov/eere/vehicles/articles/hydrogens-role-transportation
[25] https://www.iea.org/reports/hydrogen
[26] https://hydrogencouncil.com/wp-content/uploads/2022/09/Hydrogen-Insights-2022-2.pdf
[27] https://think.ing.com/articles/hold-3of4-governments-are-shaping-their-hydrogen-ambitions
[28] https://www.energy.gov/articles/biden-harris-administration-announces-47-million-develop-affordable-clean-hydrogen
[29] https://www.electronicdesign.com/markets/automotive/article/21249381/electronic-design-automakers-forge-ahead-with-hydrogenfuelcell-vehicle-development
[30] https://cset.georgetown.edu/wp-content/uploads/t0284_14th_Five_Year_Plan_EN.pdf
[31] https://www.reuters.com/world/china/china-produce-100000-200000-t-green-hydrogen-annually-by-2025-2022-03-23/
[32] https://www.cliffordchance.com/content/dam/cliffordchance/briefings/2022/08/focus-on-hydrogen-in-japan.pdf
[33] https://www.hydrogeninsight.com/transport/south-korea-signs-deal-with-samsung-hyundai-and-others-to-put-2-000-hydrogen-commuter-buses-on-its-roads-by-2026/2-1-1445858
[34] https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_23_763
[35] https://www.gov.uk/government/publications/uk-hydrogen-strategy
[36] https://www.gov.uk/government/news/more-than-70-million-to-turbocharge-the-future-of-clean-transport
[37] https://www.iea.org/reports/global-ev-outlook-2023
[38] https://www.cliffordchance.com/content/dam/cliffordchance/briefings/2022/08/focus-on-hydrogen-in-japan.pdf
[39] https://www.hydrogeninsight.com/policy/eu-nations-agree-to-install-hydrogen-fuelling-stations-in-all-major-cities-and-every-200km-along-core-routes/2-1-1426859
[40] https://hydrogencouncil.com/en/hydrogen-insights-2022/
[41] https://www.cbtnews.com/honda-and-gm-partner-to-create-next-generation-hydrogen-fuel-cell-system
[42] https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/BMW-fuel-cell-SUV-to-enter-mass-production-as-soon-as-2025-executive
[43] https://techcrunch.com/2022/08/12/ev-laggards-bmw-and-toyota-to-partner-on-hydrogen-fuel-cell-vehicles
[44] https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0360319921032444
[45] https://www.iea.org/reports/the-future-of-hydrogen
[46] https://iea.blob.core.windows.net/assets/dacf14d2-eabc-498a-8263-9f97fd5dc327/GEVO2023.pdf